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はこやま・こうた●北海道大学医学部医学科4年生。2月に休学して、妊婦エプロンと一緒に世界一周放浪中。名前も知らないクレイジーな人たちと記念撮影ペインの田舎町ブニョールで毎年8月に開催されるトマトをぶつけ合うお祭り「トマティーナ」に参加してきました。今回は、母子保健の話は置いておいて、奇祭トマティーナのレポートです。 前日の夕方、宿のあるバレンシアからブニョールまで40キロの距離を自転車で漕ぎ出しました。一般的にはバスや電車を使うのですが、せっかくだし、途中の景色も自転車で味わいたいと考えました。 しかし、行きはずっと上り坂で、道も高速道路のように車しか走っておらず、キツくて怖くて大変でした⁝⁝。 やっとの思いでブニョールの街に着くと、自転車の置き場所に悩みました。盗まれたら、えらいこっちゃです。この時に話しかけた地元の人が「チャリで来るなんてクレイジーだな! 家に泊めてやるよ!」と嬉しい提案をしてくれて、野宿を回避できました。自転車は街の外れに埋めておくことにしました! 目抜き通りを着流し姿で歩いていると、陽気な酔っぱらいたちが、お酒をどんどん注いでくれました。前夜祭から最高に楽しかったです! さて、いよいよトマティーナ当日。午前9時頃に会場入りすると、何やら棒登りをしている人がいました。木の棒に石鹸が塗りたくられていて、先端には生ハムが付けられています。それをよじ登って取るという行事らしいのですが、棒が3階建ての建物ほど長く、ハムは結局誰の手も届かずでした。 午前11時になると号砲が鳴り、いよいよトマティーナのスタート! 身動きさえできないような人混みの中にトマトを満載したトラックが次々と乗り入れてきては、大量のトマトを落として行き、真っ赤なトマトの池が出来ます。一つ食べてみたら、けっこう甘くて美味しい。もったいないことするもんだと少し憤慨しました。 この落ちているトマトをぶつけ合うのですが、トマトが意外と硬くて、当たったら痛いこと痛いこと。目に当たった時は、眼球破裂するかと思いました。 人混みと大量のトマトに、もみくちゃにされましたが、各国から集まったクレイジーな人たち皆が楽しそうで、僕もとても愉快な気分になりました。硬いトマトの嵐は、もう二度と御免ですが⁝⁝。 祭りが終わると、再び自転車でバレンシアへ。泊めてくれたおじさんがサンドイッチを持たせてくれました。「アミーゴ・グラシアス!」と何回叫んだことでしょう。何よりブニョールの地元の人の優しさが嬉しい、そんなトマティーナの冒険でした。第5回痛い痛い超楽しいスペインのトマト祭り箱山昂汰LOHASMEDICALVOICEス21