ロハス・メディカルvol.121(2015年10月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年10月号です。


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第50回どい・ゆうこ●1978年北海道医療大学薬学部卒。病院勤務後、93年(株)アインファーマシーズ入社、薬剤師研修を担当、2013年より現職。神戸薬科大学非常勤講師、北海道大学非常勤講師として、「薬剤師教育指導論」や「リスクマネージメント」を教えている。MBA取得後、2015年4月より経営学博士課程に進学。 今さらですが、在宅医療で薬剤師は何ができるか、改めて考えてみました。チームに薬剤師が加わる価値を薬剤師自身が理解していない場合も多く、絶好のチャンスがある時に見逃さないでほしいと心から思います。 在宅医療を受けている患者の多くは、経口投与の内服薬や外用薬を処方されています。医師の往診に同行し、残薬の管理をしたり、処方を提案したりというのは、薬剤師の専門性を生かした行為であり、当たり前のことです。 残薬を見つけるだけではなく、残薬が発生している理由在から近未来へと時間が流れる中で、人口問題をどうするのか? 都市計画はどうなるのか? 社会保障費は足りるのだろうか? 医療はどのように変わるのだろうか? と様々な疑問が湧いてきます。 近未来、在宅医療は欠かせません。現在は年間約1 3 0万人の死亡者のうち約75%が病院で死を迎えています。これが、高齢化率30%強と想定される2030年になると、年間160万人の死亡者があり、住空間で亡くなる人と病院で死亡する人がほぼ同数になると言われています。(株)アインファーマシーズ上席執行役員土居由有子を見つけ、場合によっては処方の削減提案をすることもできるでしょう。それは、アドヒアランス向上に大きく貢献することです。それによって薬剤費が下がりますし、高齢者が陥る薬剤性の認知機能低下や副作用の発現を抑えることにつながりQOL向上に大きく貢献することもできます。 外来調剤においてはカウンターでの患者指導がすべてですが、在宅医療では、患者に薬が渡った後の生活場面でのフォローの方にむしろ力点が置かれます。ここにも薬剤師の果たすべき役割があると思います。在宅医療の現場で薬剤師のすべきこと現 高齢者の病気の専門医などで構成される日本老年医学会が、「(加齢に伴って)筋力や心身の活力が低下した状態」を「フレイル」と呼ぼう、と提唱しています。今や、65歳以上の高齢者の11%が「フレイル」だそうです。老化現象と言ってしまえばそれまでですが、放置すると要介護状態になったり、認知機能低下が起こったりします。 同学会によれば、高齢者の多くが「フレイル」の段階を経て要介護状態になるので、早期発見をして対処することが必要、とのこと。 実は、薬の飲み過ぎが「フレイル」の原因になることもあります。ですから、薬を渡すだけではなく、患者の手に渡った後のフォローに力点を置き、特に多くの薬を飲んでいる患者を注意深く観察、「フレイル」をいち早くキャッチして対応することが、薬剤師に求められている役割ではないでしょうか?LOHASMEDICALVOICE23


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