ロハス・メディカルvol.121(2015年10月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年10月号です。


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ことを示しています。抗体はYの字の形をしています。上部の二股に分かれた部分の先が、少しずつ異なった形をしていて、その形と合致する抗原とだけ結び付くようになっているのです。 抗体医薬は、この抗体そのものを薬として使用します。あらかじめ、体の中で狙うもの(抗原)を決め、その抗原と結び付く抗体を、体の外(工場)で製造し、それを体の中に入れるのです。狙うものは、病気を治すために必要なターゲットです。例えば、がん細胞の表面にあってがんの増殖に関わる部分であったり、リウマチなどの炎症に関与するサイトカインであったりします。 抗体を薬として使えるようになるまでには長い歴史がありました。バイオテクノロジーの進歩に合わせて、少しずつ改良され、徐々に進歩してきたのです。今回はその歴史がうかがえる書籍を2冊ご紹介します。 特に困難だったのは、作った抗体がヒトの体の中で異物と認識されないようにすることでした。 抗原にぴったり合う抗体を作ること自体は早くからマウスを使ってできたのですが、その抗体は、マウスのタンパク質100%です。ヒトは、自分のタンパク質とマウスのタンパク質とを見分ける免疫能力を持っており、マウスのタンパク質100%では異物究の過程で、バイオテクノロジーの技術は飛躍的に向上し、抗体に占めるヒトのタンパク質の割合を増やせるようになりました。マウスのタンパク質の割合を約33%(キメラ抗体)、約10%(ヒト化抗体)、0%(ヒト抗体)と、どんどん減らすことに成功したのです。そして今、これらの抗体が薬として使われるようになり、多くの患者さんの治療に役立っているのです。 医療では、新しい言葉がどんどん出てきます。「抗体」のように一般の人がちょっと知っているという程度の言葉が使われている場合、言葉の示す新しい概念は誤解されがちです。医療関係者や学校教育が、分かりやすくするためにある一面だけを伝えることも、誤解が生じやすい原因です。 誤解を解く努力が医療従事者や製薬会社に求められるのは当然として、患者の側も用語に振り回されて誤解し、治療の機会を逃すのは勿体ないことなので、分からないことはどんどん質問するようにしましょう。LOHASMEDICALVIEW毎回、本文と関係のある本をご紹介していきます。大杉義征著岩波書店 2013年岸本忠三/中嶋彰著講談社 2009年もっと知りたい方に新薬アクテムラの誕生―国産初の抗体医薬品―新・現代免疫物語「抗体医薬」と「自然免疫」の驚異と判断して排除してしまいます。その結果、アレルギー反応が起きたり、薬としての効き目がなくなったりしてしまうのです。 そこで、どうすればヒトの免疫システムをくぐり抜けて、異物と認識されないようにできるのかという研究がなされるようになりました。この研29免疫に排除されない


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