ロハス・メディカルvol.122(2015年11月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年11月号です。


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 勘違いしないでいただきたいのですが、安藤元研究員の実験結果を使えるのは肥満予防についてだけで、既に肥満の人が減量するのにも有用か、は別の話です。「痩せるためには、やはり毎日、食べた分以上のエネルギーを使い続けるしかないでしょうね」と安藤元研究員も言います。出典:安藤貴史「身体活動パターンと有酸素性能力が1日の脂質利用量に及ぼす影響」(2014)より編集部にて作成減量は別問題LOHASMEDICALVIEW質は太るんでしょ」と思われたかもしれませんが、その割合は、ごく微量であることも分かってきました。 もっと肥満に大きく影響するのが、グリコーゲン分解が進み、エネルギー源として糖の利用が進むことです。相対的に脂質の利用が減ることを意味します。インスリン値も上がり、脂肪分解が抑えられます。摂取した脂質が体脂肪として貯蓄されやすくなるのです。これが「糖質は太る」の本質です。 さて、いよいよ本題です。 国立健康・栄養研究所の安藤貴史・元研究員たちのグループは2013年、肥満予防に長時間まとまった運動は不要、とする実験結果を発表しました。 実験では、9人の被験者が1人ずつ「ヒューマンカロリメーター」という気密室で2泊3日、決められた時間だけ自転車運動をしながら過ごしました。その間、絶えず室内の空気が自動的に採取され、質量分析器で酸素と二酸化炭素の濃度の変化が計測されま断続的にこまめに(30分おきに5分間を17回)運動した方が、脂質の燃焼割合が多くなりました(図)。 「1時間まとめて運動するより、例えば掃除など家事でこまめに動いた方が、脂肪を効率的に消費でき、糖の過剰な利用が起こらないことから、肥満予防効果が高いと考えられます」と安藤元研究員は話します。した。呼気の成分から、糖質と脂質の利用割合が解析できるのです。 その結果、1日あたりの運動量(運動強度×時間)を一定にした場合、まとめて長時間、少ない回数(40分間と45分間の2回)運動するよりも、脂肪燃焼コレステロール燃焼続けて一気に運動こまめに軽く運動続けて一気に運動こまめに軽く運動00.20.40.60.811.21.48910111213141516171819202122(G/MIN)(G/MIN)(時)00.050.10.150.20.258910111213141516171819202122(時)小刻みが効果的[図]運動の仕方によるコレステロール・脂肪燃焼の違い


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