ロハス・メディカルvol.122(2015年11月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年11月号です。


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おおにし・むつこ●医学博士。東京女子医科大学卒業。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンにて基礎研究に従事。LOHASMEDICALVIEWついては、2013年にもオーストラリアで、1087人の女子中学生(13〜15歳)を対象に行われています。全体の75%を占めたフェイスブックの利用者たちは、非利用者に比べ、あらゆるボディイメージ対する懸念が高いという結果が出ました。 2014年の米アメリカン大学の研究では、103人の女子中高生を対象としたアンケート調査から、フェイスブックの写真アプリケーションを使って自らの容姿がネット上にさらされる程度が高いほど、体重への不満や痩せ願望などが高まるという結果になりました。 女性のボディイメージに対するメディアの影響は以前から研究されてきました。 2008年、米ウィスコンシン大学マディソン校とミシガン大学の研究者たちは77の研究を分析し、メディアに登場する過度に痩せた女優やモデルの影響で、女性の自分の体に対する不満が著しく増加し、不健康な行動や過激なダイエットに発展しやすくなることを報告しました。 当時のウィスコンシン大学の学内ニュースによれば、メディアの形態は問題でなく、お茶の間のテレビでも、雑誌でも、パソコン画像でも、影響があるそうです。さらに1990年代より2000年代に入ってからの方が、女性のボディイメージに与えるメディアの影響は強まっていることも明らかになったと言います。 ちなみに、インターネットは一般的に1995年以降、特に2000年代初頭にかけて、世界的に爆発的に利用者数が増えました。日本でも一般に1995年が「インターネット元年」と呼ばれています。SNSは2004年前後に次々誕生し、2000年代後半に急速に利用者数を増やェイスブックに代表されるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・システム)の急速な広がりは、社会に意外な影響を及ぼしているかもしれません。女性たちの、自分の体に対する不満を助長し、摂食障害のリスクを高めていている可能性があるのです。 2015年1月、オーストラリアの研究者たちが227人の女子大生を対象に、フェイスブックの利用とボディイメージの問題との関係を調査し、論文発表しました。ボディイメージとは、心に写る自分の姿のことを指します。 論文によると、フェイスブックで親しい友達や疎遠な知り合いと自分を比較する頻度の高い人、あるいは疎遠な知り合いや女性有名人と比較して自分が劣っていると感じる人は、ボディイメージが否定的になると分かりました。 フェイスブックの利用がボディイメージに与える影響にフ第38回のやり過ぎ摂食障害招くかも内科医(ボストン在住)大西睦子メディアの影響


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