ロハス・メディカルvol.122(2015年11月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年11月号です。


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LOHASMEDICALVIEWス・メディカル』のWEBサイトで電子書籍を読めます)をご記憶の方々は、「話が違うじゃないか。一体どういうことだ?」と、お感じでしょう。たしか、日本の成功を見て、米国が重粒子線治療に再参入してきたんじゃなかったか、と。 この件は論点が色々あり、一つずつ丁寧に論じたいところではあるものの、紙幅が限られていることもあり、詳しくは別の機会に譲って、今回は最も問題の根幹となっていることに議論を絞ります。照射費用が高額なのに他の治療法より優れていることを示せなかった(劣っている、ではありません)という点です。 がん粒子線治療が歩んできた歴史を踏まえると、医療界の主流派から他の療法との比較試験をできるような扱われ方をしてこなかったことや、費用対効果の検討は研究の進んだ後に唐突に出された基準だったことなどあり、学会だけに挙証責任を負わせた先進医療会議と、その振り付けをしている厚生労働省の進め方は極めて不当だと考えます。しかし、同じ効果なら安価な方を使うべきというのは国民の利益にかなう大義なので、今回この手続き的なことは批判しません。 問題にしたいのは、現在我が国で行われている粒子線治療には2種類あって、原理は似ているけれども結果は相当に違うという事実があるのに、それを無視して2種類が一緒くたに扱われていることです。たとえ月8日の毎日新聞朝刊1面に「粒子線治療 先進医療除外も」という見出しの記事が載りました。8月6日の先進医療会議で、日本放射線腫瘍学会が行った報告を受けてのものでした。その後も、マスコミ各社が、粒子線治療に否定的な報道を繰り返しています。 先進医療としての扱いがどうなるか、はたまた健康保険が適用されるようになるか、来年まで決まりませんが、この流れで進むと、がん粒子線治療は、これまでより患者にとって縁遠い存在となる可能性が高く、我が国は普及度世界トップの座から陥落するかもしれません。 今年の4月号まで載っていた重粒子線治療に関する連載記事(『ロハ治療開始以来ことあるごとに逆風を浴びてきた「がん重粒子線治療」に何度目かの危機が訪れています。話の前提が理不尽なので、一言モノ申します。本誌編集発行人川口恭重粒子線と陽子線は全く違う一緒くたに扱うと禍根を残す26


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