ロハス・メディカルvol.123(2015年12月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年12月号です。


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はこやま・こうた●北海道大学医学部医学科4年生。2月に休学して、妊婦エプロンと一緒に世界一周放浪中。箱の蓋には一族の名前を書き込める樹形図が乏バックパッカーではありますが、物価が高くとも北欧フィンランドにだけは、どうしても行きたいと思っていました。なぜなら、この国はお母さんに優しい国世界ナンバーワンとの呼び声が高いのです。母子保健をテーマに旅をしているので外せません。さらにさらに! そこには、僕にとって伝説の宝箱があるのです。 その箱とは、フィンランド国籍の妊婦さんなら誰でももらうことのできるマタニティパッケージのことです。中にはデザインの可愛いベイビー服が一式入っているのはもちろん、爪切り、絵本、お風呂用の温度計、母乳パッド、さらには避妊具などなど、育児をスタートする時にあったら嬉しいものがギッシリと詰まっています。それらの中身をすべて出すと底にスポンジが敷いてあって簡易ベビーベッドにもなります。箱の蓋には命の樹形図の絵が描いてあり、赤ちゃんの曽祖父母までの名前を書き込めます。命のバトンタッチが一目で分かるデザインが素敵です。 この箱が現役で活躍している姿を見るべく、首都ヘルシンキにて赤ちゃんが2人いるご家庭にホームステイをしました。お母さんに許可をもらってドキドキしながら箱を開けると、そこには⁝⁝。 服だけギッシリ。中身は家のそこら中に散らばってしまったそうで、代わりに服が整理整頓して入れてありました。ちょっと残念。でも、箱の本来あるべき形ですよね。 中身をできるだけ集めてもらい、興奮しながらそれらを眺めていました。すると、お母さんから「コータがこれを日本に導入してくれるんでしょ?」と言われ、嬉しくなりました。「世界中に広めるよ!」と答えました。いつかそんな人になれたらいいな。 お父さんの方は、耳たぶに大きなコルクが入っているなどロックで近寄りがたい風貌でしたが、自分から僕の妊婦体験ジャケットを着けて、家事にトライしてくれました。彼がこれまでの中で一番長く着けてくれた人です。 フィンランドでは男性が育児休暇を取得することは一般的です。女性が復職するための制度も整っています。お父さんがベビーカーを押して、家族そろって外出している風景を街中で見ました。 様々な福祉制度が整っており男性もジェントルマン。滞在を重ねるにつれて、「この国でお母さんになりたい!」と思ったりしていました。男の僕でもそう思ってしまうほど、この国にはお母さんに優しい風が吹いています。フィンランドは文句なしの世界一でした!第7回フィンランドのお母さんに優しい宝箱箱山昂汰LOHASMEDICALVOICE貧28


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