ロハス・メディカルvol.124(2016年1月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年1月号です。


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できる仲間すらいないことも大きなストレスかもしれません。私たちは、やはり周り(社会)と関わりながら生きていく動物だからでしょう。 孤独を感じるのはとてもつらいことです。そのような状態が長く続くと、生活の質は大幅に下がります。恐らく眠りも悪くなるように思えますが、どういうわけか、孤独感との関連はあまり調べられていません。まして、客観的な睡眠を検討した例はさらに少なくなります。 米国で行われた調査には地域住民95名(平均40歳、男女ほぼ同数)が参加しました。く眠るためには、ポイントがいくつかあります。主なものとして、起床・就床時刻を一定にする、朝に明るい光をしっかり浴びて夜には浴びない、適度な運動を行う、などが挙げられます。 こうした行動の他に、地域であれ、職場であれ、周りの人々と良い関係を保つことも快眠には大切です。お互いにいがみあったり、攻撃しあっていては、良い睡眠は遠のきます。 人間関係がうまくいかないと、孤独感の生じることがあります。けんかは良くないですが、かと言って、けんかのらです。 周囲からの孤立を感じる人は睡眠が分断されやすいとなると、健康に何らかの影響が現れないか、心配になります。事実、孤独感の強さは将来、抑うつなど精神的不調や、心臓病など肉体的な病気につながりやすいと言われています。その仕組みについて研究が進められていますが、睡眠の乱れが大きく関わっているとして注目されています。 眠る前になって、どう良い睡眠をとろうかと考えても、時既に遅しです。それまでの時間(=起きている時)の過ごし方がカギだからです。そして、そのカギの一つが周りとのポジティブな関係と言えます。 つながりたいという人がいて、お互い様としてその願いを受け容れる人がいることで、真につながれます。それが安眠という素晴らしい締めくくりをもたらし、明日の充実にもなるのでしょう。第59回たかはし・まさや●1990年東京学芸大学教育学部卒業。以来、仕事のスケジュールと睡眠問題に関する研究に従事。2000年、米国ハーバード大学医学部留学。独立行政法人労働安全衛生総合研究所作業条件適応研究グループ・上席研究員高橋正也孤独感の程度は、「私は人との付き合いがない」、「私は他の人たちから孤立している」などの質問に対する回答から調べました。睡眠は質問紙とともに、活動量計を一週間装着して測定しました。 年齢、性別、肥満度などの影響を考慮して解析したところ、孤独感は主観的な睡眠感や昼間の眠気には関連しませんでした。また、活動量計から算出した客観的な睡眠の長さとも関連がありませんでした。 統計的に確かな関連が認められたのは、体動などによって睡眠がブツ切りになる(=分断する)割合でした。孤独感が強いほど、この割合が増えました。飲酒や婚姻状況などによる影響を統計的に調整しても、結果は同じでした。 睡眠は途切れないで連続的に進む必要があります。それによって、睡眠中の様々な機能が確実に行われ、疲労回復と翌日への準備が完了するか良29LOHASMEDICALVOICE


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