ロハス・メディカルvol.125(2016年2月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年2月号です。


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 1カ月(暦の1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が負担限度額(所得に応じて70歳未満の場合は5段階、70歳以上の場合は4段階)を超えた場合、申請すれば、超えた分の金額が後から払い戻される制度。該当することが事前に分かっている70歳未満の人は、あらかじめ申請しておくことで、立て替えておく必要もなくなる。 ただし、消費税に軽減税率を導入するための財源として、限度額の引き上げが検討されているとの報道もある。高額療養費制度とはLOHASMEDICALVIEWされませんが、病気の疑いがある人なら同じことをした時に保険が適用されます。 健康保険が適用されると、当人の自己負担は減る一方で、社会全体の負担は増えます。ですから、状態を判定する医師の自律が大切です。要望を「はいはい」と何でも聞いてくれる医師が、実は社会にとって害となる可能性もある点、知らないといけませんね。 また、どの行為に健康保険を適用し、その費用を誰がどう負担するのか、国民の側でも事あるごとに意思表示をしないと、業界の内輪の論理だけで決まってしまいがちです。 自由診療の価格は、受ける方が納得して支払う限り、どのように値付けすることも可能です。ごく普通の商取引と何ら変わりません。 一方の健康保険を使う保険医療は、社会のセーフティネットと位置づけられることもあり、値段の付き方が全然違います。自分や家族に対して行う例外を除き、医師・歯科医師・看護師・薬剤師などの免許を持った者のみに許されています。免許は、それぞれの職に求められる知識・技量・倫理観の最低限を国が保証するものです。そして、それぞれの免許によって、許される行為の範囲が違います。 医療従事者側は患者にストレスを感じさせないよう連携して動きますが、資格によってできることできないことがあると理解しておくのは大切です。できることの範囲を超える要求をするのは、相手に罪を犯せと言っているのに等しいわけです。 当然のことながら、免許を持っていない者が他人に行えば犯罪ですし、たとえ資格を持った者が行うとしても、急病で意識がないなど例外的状況を除き、本人の同意が必要です。何かするごとに同意書を書かされるのは、こんなことも理由になっています。 我が国は国民皆保険制度が敷かれており、最近は原則が崩れかけていますが、普及段階にあって最善と考えられる治療行為は健康保険でカバーされます。健康保険でカバーされると、患者の自己負担は最高で3割に収まり、しかも上限の金額も決まっています(高額療養費制度=コラム)。 一方、治療ではないもの、広く普及していないもの、既存の保険診療より優れていると認められないものには、健康保険適用が認められず自由診療(つまり全額負担)となります。 このうち「治療か否か」というのは、同じ行為でも、受ける人の状態によって判断が変わる可能性を秘めています。例えば健康な人の健康診断で行う検査には健康保険が適用11保険診療と自由診療があります。健康保険を使うなら、その値段は全国どこでも同じ公定価格です。


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