ロハス・メディカルvol.126(2016年3月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年3月号です。


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おおにし・むつこ●医学博士。東京女子医科大学卒業。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンにて基礎研究に従事。LOHASMEDICALVIEW また、以下4つの基準を満たした人について、MCIと診断しました。◯過去2年間で認知機能が低下している◯年齢や教育レベルに比べて、認知機能が低下している◯日常生活はほぼ正常で、少しだけ複雑な手段的機能が低下している◯認知症の基準を満たすには不十分葉から多方向へと考えを連想・派生させることができるか(「動物」と聞いて何種類の動物名が言えるか)◯視空間認知能力力空間を見て何かどのような状態になっているかを知ったり、平面の地図や絵を見て立体的にイメージしたりする能力 ちなみにMCIは、健忘型と非健忘型に分類されます。健忘型は記憶の障害で、多くはアルツハイマー型認知症に進行します。非健忘型では、失語や失行の症状が存在し、主に血管病変を反映しますが、前頭側頭型認知症またはレビー小体型認知症に進行することもあります。 研究は、2000年から2003年にかけて、独ルール地方で無作為に選ばれた45〜75歳の住民(男女比11)4814人を対象に認知機能や貧血状態などの調査を行い、5年後に再調査しました。 認知機能や貧血の情報を入 認知能力の評価は、以下5項目に基づいて行われました。◯言語性短期記憶憶8つの単語を覚え、短時間経過後にどれだけ思い出せるか◯言語性長期記憶憶8つの単語を覚え、長時間経過後にどれだけ思い出せるか◯実行機能およびその速ささ複雑な行動を、段取りを経て円滑かつ迅速に遂行できるか◯言語流暢性性ある一つの言くの先進国で高齢化が進み、認知症が大きな社会問題になる中、『アルツハイマー病雑誌』2015年11月号に、貧血が軽度認知障害(MCI)に関与すると、独デュースブルグ・エッセン大学の研究者らが報告しました。 MCIは、認知機能が正常な状態と認知症との中間の段階です。MCIの人の何割かは、その後で認知症へと進みますが、それ以上進行しないこと、時間をかけて正常な状態に回復することもあります。認知症の早期発見と予防には重要な段階と考えられています。 今回は、この報告を参考に、貧血と認知障害について考えてみましょう。 この研究では、世界保健機関(WHO)の定義に準じて、ヘモグロビン濃度が男性では13・0G/DL未満、女性では12・0G/DL未満を貧血と定めました。第42回貧血で認知症のリスクが上昇!?内科医(ボストン在住)大西睦子多8


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