ロハス・メディカルvol.126(2016年3月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年3月号です。


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の明るさは大きな意味を持ちます。 米国で日勤で働く大学職員49名を対象に、職場で当たる日光と睡眠との関連が調べられました。仕事場に窓があるかないか、あってもそこから離れていて、日光が入らないかという基準で対象者を分けると、窓あり群は22名、窓なし群は27名になりました。両群の間に性別、年齢、屋外での活動時間などの差はありませんでした。ただし、職場でどのくらい日光に当たるかを尋ねたところ、窓あり群の方が確かに日光に多く当たっていました。の当たらない職場と聞くと、とかく良い印象は浮かびません。仕事でしくじって左遷される先、次の人事異動まで辛抱するしかない部署など、できることなら行きたくない所です。 このような仕事上の問題だけでなく、文字通り日の当たらない(=日光が入らない)という環境について、睡眠の面から注目が集まっています。窓のない職場は多いですし、窓があっても日光が届かない場所で働くことはあります。良く眠るには光の当たる量とタイミングがとても大事なので、一日の大半を過ごす職場 以上は、特定の職場で働く、ごく少数の労働者から得られた結果ですので、あらゆる労働者に当てはまるかどうかは分かりません。とは言え、日光の入りやすさも加味して評価した明るい仕事場とそうでない仕事場とを比べた日本の研究からは、明るい仕事場で働く方が、不眠の訴えは少ないことが示されました。また、フランスの研究によれば、地上で働く労働者(約9千名)は地下で働く労働者(約5千名)より、不眠や昼間の眠気の問題が少ないという結果でした。これらの背景には、昼間に日光に充分に当たると、睡眠や体内時計に関わるホルモン分泌が快調になることがあると考えられます。 日光は無料なので、上手に当たれるように仕事場を設計したり、改良したりするのが望ましいでしょう。窓のそばには「えらい」人が座りがちですが、日光は多くの職員で共有したいものです。第61回たかはし・まさや●1990年東京学芸大学教育学部卒業。以来、仕事のスケジュールと睡眠問題に関する研究に従事。2000年、米国ハーバード大学医学部留学。独立行政法人労働安全衛生総合研究所作業条件適応研究グループ・上席研究員高橋正也 日光の当たる量と睡眠を客観的に調べるため、窓あり群の11名、窓なし群の10名は光の明るさと体の動きの両方を測定できるセンサーを手首に着けて、2週間過ごしました。光を正確に測るため、センサーが袖などによって隠れてしまわないように注意されました。 起床から勤務開始までの間では、受けた光の量は両群に差がありませんでしたが、活動量は窓あり群で多いことが分かりました。勤務中については、受けた光の量、活動量共に、窓あり群で多いことが明らかになりました。勤務終了から就床までの間、そして休日についても、同じような結果が得られました。 活動量に基づいて調べた睡眠の状況を見ると、窓あり群は窓なし群より平日で約45分、休日で約90分長く眠っていました。就床時刻や寝付くまでの時間などに差はありませんでした。日15LOHASMEDICALVOICE


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