ロハス・メディカルvol.127(2016年4月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年4月号です。


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第56回どい・ゆうこ●1978年北海道医療大学薬学部卒。病院勤務後、93年(株)アインファーマシーズ入社、薬剤師研修を担当、2013年より現職。神戸薬科大学非常勤講師、北海道大学非常勤講師として、「薬剤師教育指導論」や「リスクマネージメント」を教えている。MBA取得後、2015年4月より経営学博士課程に進学。じと思います。2000年頃に除菌が保険適応になった時、マスコミでも盛んに取り上げられました。除菌すると様々なリスクが下がるので、改めてご紹介します。 ピロリ菌は、胃の強い酸性下でも生きて住み着くことができます。その感染経路はハッキリとは分かっていないものの、大部分は防御の弱い幼少期に飲食物を通じて口から入って定着してしまうと言われています。日本人の50%以上が保菌していると言われ、中でも衛生状態の悪い時代に育った50代以降では70%以上が保菌していると言われていの不快感がある、胃や上腹部に痛みを感じる、胃がムカムカする、空腹時や疲労時に吐き気が起こる、薬を飲んでも効果は一時的で不快感が再発する、という方、ひょっとしてお腹にピロリ菌を飼っていませんか? 特に、水道設備の古い場所に住んでいたことがある、1970年以前に生まれた、同居家族にピロリ菌の感染者がいる、という方は確率が高いです。 思い当たった方、一度ピロリ菌検査を受けてみては、いかがでしょう。 正式名称「ヘリコバクター・ピロリ」のことは、ご存(株)アインファーマシーズ上席執行役員土居由有子ます。親が保菌者だと、衛生状態の良くなった現代でも、子どもに感染させてしまうことがあります。 感染しているかどうか調べるには、7つの検査法があり、うち3つは内視鏡を使います。 内視鏡を使うのは勘弁してほしいと思う方もいるかもしれませんが、最初は他の4つの検査法にしたとしても、健康保険を使うためには避けて通れないことが多いのです。保険で検査・治療を行えるのは、胃・十二指腸潰瘍、早期胃がん内視鏡治療後などの場合で、2013年から「慢性胃炎」が加わりました。このお腹にピロリ菌飼ってませんか胃慢性胃炎の確定診断に内視鏡検査が必須です。 ピロリ菌の除菌には、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗生物質を7日間服用します。その終了から4週間以上経ったところで除菌されたか検査します。特定の薬に耐性を持ったピロリ菌も増えているので、初回で除菌に成功しないこともあります。その場合は、抗生物質を置き換えて再治療します。 抗生物質の服用により、下痢、味覚異常といった副作用が出る場合もありますが、通常は2、3日でおさまります。かゆみなどが出る場合もあり、何か異変を感じたら薬剤師に相談してください。 ちなみに、「LG21」という乳酸菌にはピロリ菌の増殖を抑える効果が知られており、除菌治療ができない方、失敗した方には、その配合ヨーグルトを食べてリスクを下げるというのも選択肢になりそうです。LOHASMEDICALVOICE22


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