ロハス・メディカルvol.127(2016年4月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2016年4月号です。


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回は薬の話です。「花粉症で病院に行ったら別の抗アレルギー薬が処方されたけど、以前の薬のように効くのか心配。大丈夫かしら」と質問されました。薬の名前を覚えていらっしゃらなかったので、形や大きさ、シートの色、飲み方などを聞いていくうちに、今回の薬と前回の薬が何であるか分かりました。そこで私が「有効成分は同じですよ」と返答したところ驚かれました。「以前よりもっとよく効くはずですから安心してください」と付け加えておきました。 この方の薬は、ジェネリック医薬品ではありません。違う名前の薬で、有効成分が同じ、もっとよく効くはずってどういうことでしょうか。今回はこれがテーマです。 皆さん、右手と左手をご覧になってください。手の平同士を合わせてみると、右手とている物質があります。これを光学異性体といいます。 代表的なものがアミノ酸です。アミノ酸の構造は炭素CにCOOH、NH2、H、R(アミノ酸の種類によって異なる部分)が結合しています。ここではRがCH3のアラニンを例にとって説明しましょう。 簡略化した図をご覧ください。ちょうど正四面体の真ん中にCがくるような立体構造をしています。このCに結合左手はピッタリと重なります。次に、右手の甲の上に左手の平を乗せてださい。今度は重なりませんね。 右手と左手は同じ形で、鏡に映った像のように対称になっています。左の手袋を右手にはめることができず、右の靴を左足で履くことができません。 このように私たちの身の周りには、右手と左手みたいな鏡像関係になっしているものは、点線の左右で同じですね。つまり分子式は左右同じです。しかし、左手と右手のように結合の並びで鏡像関係の2種類あることが分かります。 私たちの体で作られるのは左側のタイプだけです。基本的に、アミノ酸はすべて左側のタイプ(L体)だけが作られます。もちろん例外はあり、最近の研究では加齢と共に右LOHASMEDICALVIEW薬剤師。科学の本の読み聞かせの会「ほんとほんと」主宰吉田のりまき都道府県が設置する教科書センター一覧は、文部科学省のサイトに掲載されています。HTTP://WWW.MEXT.GO.JP/A_MENU/SHOTOU/KYOUKASHO/CENTER.HTM教科書をご覧になりたい方へ第12回光学異性体を分割同じ成分で効果増今D-アラニン鏡像の関係H2NH2NCH3CH3CCOOHCOOHHHL-アラニンC24右手と左手の関係アラニンの光学異性体


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