ロハス・メディカルvol.137(2017年2月号)

ロハス・メディカル2017年2月号です。睡眠と免疫の関係、水晶体とオートファジー、体幹トレーニング、血管の傷みが分かる検査、亀田総合病院事件、小松秀樹、がん対策基本法の狙い、オプジーボの光と影9など


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血管の膨らみ度合いに注目血管が硬いほど、膨らみは小さく(API値が高く)なる上腕動脈柔らかい血管拍動が大きい硬い血管拍動が小さい硬い血管(高齢者)柔らかい血管(若年者)加齢、動脈壁が硬くなると…血管が硬いほど、傾きが急に(AVI値が高くなる)反射派※の影響反射派※の影響脈派のピーク脈派脈派脈派のピーク血圧カフ圧結果として血管にかかる力APIの考え方©PLAYMOBIL/GEOBRABRANDSTÄTTERSTIFTUNG&CO.KGいでしょうか」と岡本医師も話します。 AVIは、上腕に巻いたカフに伝わる脈波から、大動脈を含む全身の動脈の硬さを把握することができる指標です。その数値が高い場合は、大動脈を含めた全身の動脈が硬くなっている可能性が示唆されます。 他方、APIは、カフを巻いた上腕の血管の硬さを、カフの圧力と血管の太さの相互変化から把握する指標です。血管が柔らかければカフ圧の減圧によって上腕動脈の容積は急激に変化するのに対し、硬い血管では緩やかに変化します。APIの数値が高いと上腕動脈が硬くなっている可能性があります。 現在は、AVIとAPIが疾患予測にどの程度役立つかについての研究が進められています。岡本医師たちによる最新の研究では、年齢や収縮期血圧(最高血圧)が高いほど、AVIが高くなっていました。さらなる分析でも、AVIと性別、年齢、肥満指数(BMI)、収縮期血圧、空腹時血糖値、喫煙状況は、それぞれ独立して関連性が認められました。APIについても、肥満指数、収縮期血圧、拡張期血圧(最低血圧)との強い相関関係が見られ、性別、年齢、BMI、収縮期血圧は独立して関連性が確認されました。 「ただ、全国的な普及のためには、さらなるエビデンスの蓄積が必要です」と岡本医師。血圧を測るのと何ら変わりない手間と容易さで、こまめな動脈硬化の進行のチェックを可能にするAVI・API。健康管理の強力なツールとして、今後の研究と活用に期待がかかります。


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