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LOHASMEDICALVIEW弁護士がやるものは、何でもやっていました。一般の民事的な離婚、相続、破産、債務整理、お金の取り立て。カード会社の顧問をやったこともあります。それから不動産屋の売買、賃貸。ゼネコンの顧問もやれば、住民運動の代理人でマンション建設を中止させることもやる、と。その最初の15年でお医者さんとのお付き合いは色々あったにせよ、本業での相談なんてないに等しかったのが、2000年前後から本業の相談が来るようになって、しかも激増したんです。おいこりゃ一体何が起こっているんだ、ということで、政策も含めて医療問題全般に入り込んでいくことになりました。仕事をやっていたら自然に膨れ上がって、膨れ上がったんで色々やっていたら、抽象的な政策的なことにも入り込むことになってしまって。そうこうしているうちに、司法制度改革で弁護士が増えて、専門分化する時代に梅村 医療側弁護士として名高い先生が、一体どういう経緯で今のような活動をなさるようになったのかとか、色々お尋ねしたいことがあって、本日は参りました。よろしくお願いします。井上 大雑把に言うと、現時点で弁護士としてのキャリアが約30年です。それで前半の15年は、医療について実務上の仕事はほとんどありませんでした。時期で言うと2000年より前ですね。一般的になってきたので、医療関係が専門になってしまった、という経緯ですね。梅村 正直、政治家になる前は、弁護士に良いイメージを持ってなかったんですよ。井上 と、言いますと。梅村 今から10年以上前、ある医療機関で、私自身が院内倫理委員会みたいなのにかけられたことがあるんです。手術できない進行がんの方がいらして、抗がん剤治療をするにあたって、僕は本人に告知しようとしたんです。告知しないで抗がん剤を使ったりすると、副作用が出た時に困るし、病名を知ることが患者さんに自己決定権を行使させるきっかけになるから、と家族にも説明しました。井上 今なら当たり前の考え方で、当時でも主流になりつつあったんじゃありませんか。梅村 ところが家族は全員反対で、告知しないで抗がん剤治療をやってくれと言うわけ井上清成弁護士(上)患者の自律をサポートするには何が必要なのか、元参院議員・元厚生労働大臣政務官の梅村聡医師が、気になる人々を訪ねます。(左)井上清成・医療法務弁護士グループ代表。1981年東京大学法学部卒業。86年弁護士登録(東京弁護士会所属)。89年井上法律事務所開設。2004年より現職。(右)梅村聡2001年大阪大学医学部卒業の内科医。医療法人適塾会理事長。