ロハス・メディカルvol.139(2017年4月号)

ロハス・メディカル2017年4月号です。「口から人生を豊かに」特集スタート。初回は清潔6つのお得です。片切寛氏voice。口内炎も2週間続いたら要注意。血管を守る特集は最終回、中性脂肪で血管が傷む。抗生物質って何?。リハビリが続かない、どうしたら?リン酸探検隊も最終回。梅村聡氏と井上清成氏の対談ほか。


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何も悪いことなんてしてないのに、と思っていますよね。そうしたら、その弁護士資格を持った人が、「分かりました。不適切だったけど」とか言うので、そもそも前提として適切不適切を言うような話じゃないでしょ、と呆れました。その時に初めて、弁護士さんを見たんです。左翼的というか、僕らとは感覚や考え方が根本的に違う人種だなあという印象を持ちました。井上 確かに、特に旧司法試験の時代は、梅村先生とは感覚や考え方が違う人が圧倒的に多かったですね。梅村 なぜですか。井上 昔は就職試験の時に、企業が身辺調査や思想調査を堂々とやっていましたでしょ。そうすると、学生時代に先鋭的な考え方を持って行動していた場合、どんなに学歴や能力が優れていたとしても採用されなかったんです。結果として、とんでもなく難しいけれど、合格さえすれば食べていけるようになる司法試験の無制限一本勝負に挑戦する人が、圧倒的にそのような人ばかりになっちゃった。同じ能力で、穏当だった人は、多く企業とか官庁に入りました。団塊の世代の時、大多数の人が行動的に暴れまわったので、その後は何が何だか分からなくなっちゃいましたけど。梅村 やっぱりそうですか。実はね、私自身が政治家を志したのが、医療や医療関係者を左翼的にブッタ切って溜飲を下げるみたいな世の中の風潮に危機感を持ったからなんです。井上 ほう。梅村 2004年に福島の県立大野病院事件※がありましたよね。あの時は僕ら、法律とか行政のことを分かってなかったんで、単なる感情論でですよ。で、僕は、それはできないと言ったんです。揉めている間に、告知しないでも抗がん剤やりますという病院が出てきて、そこへ転院して行かれました。最後は亡くなったんですけどね。井上 それが何か問題でも。梅村 家族が、ある有力者を通じて、「あの時に先生が抗がん剤をやってくれてたら、死期をもっと先延ばしできたんじゃないか」と病院にクレームを言ってきたんです。井上 病院はどう対処したんですか。梅村 一応、僕を咎めるというか、教育したようなフリをしました。弁護士資格を持ったある大学法学部の教授を長とする倫理委員会みたいなのが臨時に作られて、僕に弁明させるわけです。こっちは、したけれど、こんなことを刑事事件にされたら、やってられないと思いました。たまたまその頃に国会議員と話す機会があって伝えてみたら、そうは言ってもお医者さんは国から免状をもらってやってるわけだから結果責任だってある程度とって当然でしょう、と言うんです。国会議員の見識が高いか低いかは置くとして、国会議員は投票で選ばれてますから、一般の有権者の意見を何となくパラレルに反映しているわけですね。あれ? 一般の方々もそういう感覚なのかな、と思いました。医療側と一般社会の側の間にLOHASMEDICALVIEW※福島県立大野病院事件2004年12月に福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた妊産婦が死亡、2006年2月になって手術を執刀した同院産婦人科の医師が業務上過失致死と医師法違反の容疑で逮捕され、翌月に起訴された。全国の医師たちによる支援活動(『ロハス・メディカル』も一翼を担った)が大規模に広がり、2008年に福島地方裁判所によって無罪判決が言い渡され確定した。普通に弁護士をしていたらある時期から医療の相談急増


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