ロハス・メディカルvol.140(2017年5月号)

ロハス・メディカル2017年5月号です。「口から人生を豊かに」2回目は、お手入れの方法です。奈良夏樹氏voice。行動活性化療法。高齢者のポリファーマシー。梅村聡氏と井上清成氏の対談。新専門医って何?ほか。


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つらさ気分の落ち込み行動活性化療法の介入で連鎖を切る!活動性低下楽しいことを得る機会が減少つらいことばかりだと感じる否定的情報への注目 行動活性化療法は、国立がん研究センター精神腫瘍科でも、「日々の充実感やよろこびを取り戻すプログラム」として、精神科専門医によって無料で提供されています。同院の患者でなくても利用できるので、がんの治療中で「病気のことばかり考えてしまって何もする気にならない」といった場合は、問い合わせてみるとよいかもしれません。がん患者のケアにもLOHASMEDICALVIEWしんどければ途中で切り上げてもいいんですよ」「理想の展開でなくても、一歩踏み出すことが良いことだと思いますよ」などと、背中を少し後押しするそうです。 行動活性化療法は、2016年12月号でご紹介した「認知行動療法」と同等の治療効果を得られることが昨年、英国から報告されています。 成人うつ病患者440人を行動活性化療法群と認知行動療法群に分けて1年間施術したところ、どちらも半数以上、うつ症状が大きく改善しました。両群で効 そして、定期的に30∼60分のカウンセリングを受けます。 「うつ状態だと、自分の行動の本来の目的や意味、価値を見失っていることが多いので、一緒に見つめ直していきます」と鈴木教授。 その人が価値を再認識でき、前向きになれて、なおかつ取り組めそうな行動を一緒に考えた上で、「出かけてみて、果の差は見られず、治療コストは行動活性化療法の方が21%低かったそうです。 なお、認知行動療法は、マイナス感情・行動の背景にある考え方や認識の偏りを正そうと、自分自身の固定観念や内面と向き合うことから入るので、人によってはその手法自体が苦痛だったり難しかっ同等の治療効果気持ちの悪循環出典:国立がん研究センター精神腫瘍科リーフレットより編集部にて作成たりする場合もあります。 その点、行動活性化療法はご説明した通り、内面は後からついてくる、という発想です。認知行動療法と同様、保険点数の不充分などクリアすべき課題もありますが、公認心理師の設立など普及の土台は整備されつつあります。今後の発展に期待したいですね。13


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