ロハス・メディカルvol.140(2017年5月号)

ロハス・メディカル2017年5月号です。「口から人生を豊かに」2回目は、お手入れの方法です。奈良夏樹氏voice。行動活性化療法。高齢者のポリファーマシー。梅村聡氏と井上清成氏の対談。新専門医って何?ほか。


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きなりですが、「ポリファーマシー」という言葉をご存じですか。多剤併用とも言います。単純に、服用している薬の数が多いことだけではなく、必要以上に薬が多く処方されていて、成分の重複や、副作用の面から不適切な処方になっていることを問題視しています。 日本老年医学会のホームページでは、同学会が作成した「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」について掲載しており、総論のページをダウンロードできるようになっています。よかったら読者の皆さんも、一度ご覧になってください。それによると、70歳で平均6種類以上を服用しているとのこと。高齢の入院患者において、薬の数と薬物有害事象との関係を解析した報告では、6種類以上で薬物有害事象のリスクが特に増加していたそうです。薬 皆さんは、加齢と共に身体のあちらこちらに不具合が生じてくるので、薬を単純に増やせばよいと思っていませんか。今の医療では反対なのです。むしろ加齢と共に減らしていこうという考え方です。 もちろん、単純に数だけで判断できません。何となく習慣的に、食事と同じように複数の薬を飲むことがベースになっている方は、ポリファー物有害事象というのは、皆さんが普段使っている「副作用」とほぼ同じ意味です。 また、外来患者で薬の数と転倒の発生を解析した研究では、5種類以上で転倒の発生率が高かったとのことです。 これらの報告等を考慮して、日本老年医学会では、5∼6種類以上を多剤併用の目安と考えています。マシーのことを考えた方がよいでしょう。 ①本当に薬に頼らなければならないのか、②薬を飲む最終的な目的は何か(どういう状態にならないようにすることが目的なのか)、です。そして、それらの薬に優先順位をつけてみてください。 例えば、寝つきが悪くてよく眠れない人は睡眠薬を欲しがります。高齢者に多いですね。しかし、その薬がなくても命に関わることはありません。優先順位は低くなります。高齢になるとそもそも睡眠時間が少なくなるのが当たり前なのに、若い時の睡眠時間と比べて睡眠が足りていないと思い込み、薬をもらっているのであれば、不要な薬ということになります。むしろ、もし睡眠薬が身体に合っていなければ、ふらつきが現れます。ふらついていると、転倒のリスクが高くなります。高齢者の転倒は「寝たきり」のきっかけなります。LOHASMEDICALVIEW薬剤師。科学の本の読み聞かせの会「ほんとほんと」主宰吉田のりまき都道府県が設置する教科書センター一覧は、文部科学省のサイトに掲載されています。HTTP://WWW.MEXT.GO.JP/A_MENU/SHOTOU/KYOUKASHO/CENTER.HTM教科書をご覧になりたい方へ第25回加齢と共に薬は減らそうい18薬は5種類までにその薬、必要ですか


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