ロハス・メディカルvol.140(2017年5月号)

ロハス・メディカル2017年5月号です。「口から人生を豊かに」2回目は、お手入れの方法です。奈良夏樹氏voice。行動活性化療法。高齢者のポリファーマシー。梅村聡氏と井上清成氏の対談。新専門医って何?ほか。


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失の刑事事件や、損害賠償の裁判もありましたけれど、ほとんど相手にされてませんでした。一部の弁護士は、その相手にされない時代から何十年と、やり続けたわけです。何回も何回も煮え湯を飲まされながらやってたわけです。で、やっと2000年くらいに開けた。梅村 ついに、その弁護士さんたちの時代が来たわけですね。ところが、井上先生が邪魔をする、と。井上 私なんかのことは、保守反動の輩みたいに見えて、腹が立ったでしょうね。ただ私から言わせれば、別の意味で時代が変わったんだよ、と。昔のように日本に国力があって、診療報酬ジャブジャブ、皆保険制だってズブズブに金がある、そんな時代だったならば、刑法や民法で少しくらい医者を叩いて、少しくらい首を切って減らしても国民にとって悪くはないでしょう。だってダブついているんだから、少し削いだ方がいいでしょ。でも足りない時に切っちゃうとヤバイわけですよ。全体が縮んじゃう。梅村 シュリンクしちゃうわけですよね。井上 小さくなっちゃいけません。梅村 とりあえずパイを大きくせんとね。井上 そうして太らせてから削ぐようにしないと。それまでの医療は、刑事だとか民事だとかマスコミだとかへの対応って、全くと言っていいほどやってなかったわけです。それが2000年近くなってから変わった。指導層の人たち院長とか副院長とかは、若い頃にそういうことを経験してないし見たこともないものだから、ものすごく対応が下律家としては面白いわけですよ。法体系としては問題山積です。で、ここに2000年頃から私法が入り込んだ。医師法21条から業務上過失とか刑法が入ってくる、民法の損害賠償が入ってくる。で、みんなビックリしたわけですよ。それで法律の相談が増えたんです。梅村 なぜ私法が入り込むようになったんでしょう。井上 色々な人たちの色々な動きがありましたけれど、結局は国家自体がその気になって入ると決めたんですね。簡単に言えば、警察が入り込むことを決めたわけです。そうしたら裁判所もそれに追随して民事でも扱いましょう、とこういう感じになってきた。もちろんそれまでも業務上過手くそでボコボコにされます。一足早く同じような目に遭ったのが学校で、あれも対応が下手くそでしたよね。梅村 いじめ問題とか、そういうものへの対応ですね。井上 結局、そういう下手くそな対応が巡り巡って、学校自体が崩壊していきます。そういう対応を仕事にしている私が、学校の対応を下手くそだなあと思って見ていたら、医療界まで下手くそなのをマネしているわけですよ。うゎー、潰れちゃうこれ、まずいなと思いました。少なくとも、下手くそなのをモデルにするのはやめさせようと思って、取り組んだわけです。梅村 杞憂かもしれないんですけど、今のお話でいくと、今までは行政と医療の関係にだけ法律の関係があって、行政は医療者・医療界との間だけ支配してたら、うまいこといってたわけですよね。その先の医療者・医療界と患者の関係の所に刑法や民法が入っLOHASMEDICALVIEW医療を規定する法的関係行政との間にしかなかった21


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