ロハス・メディカルvol.140(2017年5月号)

ロハス・メディカル2017年5月号です。「口から人生を豊かに」2回目は、お手入れの方法です。奈良夏樹氏voice。行動活性化療法。高齢者のポリファーマシー。梅村聡氏と井上清成氏の対談。新専門医って何?ほか。


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LOHASMEDICALVIEWや医療法には、行政と医師、医療従事者しか登場しません。そういう行政と私人の関係を律するものを一括りに公法とか行政法って言います。健康保険法くらいになって、やっとこさ被保険者という呼び方で一般の国民が出てきます。これに対して私法と呼ばれる法律群があります。民法がそうですし、刑法も私法の部分が大きいです。物を盗った盗られた、殺した殺された、私人同士の関係ですよね。これを律するわけなんです。梅村 なるほど。井上 弁護士の基本は、私法にあります。弁護士だけじゃなくて、裁判所も含めて司法全体が基本的に私法中心に回っています。裁判所は、民事部と刑事部に分かれてます。行政部なんてありませんよね。日本は法律を元々プロイセンから輸入したので、英米法とは違って、行政を律するのは裁判所があまりやるべきことじゃない、という意識がもの井上 2000年くらいから医療に関する法律相談が増えてきた原因について、法律家として技術的な解説をしますとね、それまでの医療は、役所と医療界、厚生省・厚生労働省と医療者だけの法律関係だけですべて済んでたんです。明治以来ずっとです。お役所と医療界だけの関係で、医療制度がすべて決まってました。梅村 医療法とか医師法とかですね。井上 はいそうです。医師法すごく強いんです。梅村 そうなんですか。井上 だから行政関係の法は二の次で、行政裁判になると、裁判所は行政の顔を見て判決を出すことが多いです。そもそも日本の裁判官は、行政に対して、上からコラっとやれる見識は持ってないです。民法とか刑法ばっかりやってるから。で、先ほども言ったように、医療界って非常に変わった業界でしてね、公法の世界だけで明治以来運用してきたわけです。梅村 裁判所が扱いたがらない世界ということになりますね。井上 世の中の構造が変わってきているのに、民法・刑法が明治からずっと入り込まないアンタッチャブルな世界なんて、化石みたいな信じられない世界だったわけです。そこに国民皆保険制とか少し憲法チックな話も入っていて、これでよくやっているなと法井上清成弁護士(中)患者の自律をサポートするには何が必要なのか、元参院議員・元厚生労働大臣政務官の梅村聡医師が、気になる人々を訪ねます。(左)井上清成・医療法務弁護士グループ代表。1981年東京大学法学部卒業。86年弁護士登録(東京弁護士会所属)。89年井上法律事務所開設。2004年より現職。(右)梅村聡 2001年大阪大学医学部卒業の内科医。医療法人適塾会理事長。20


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