ロハス・メディカルvol.141(2017年6月号)

ロハス・メディカル2017年6月号です。「口から人生を豊かに」3回目は、歯痛の原因です。武井典子氏voice。新連載「健康情報しらべ隊」スタート。分煙では受動喫煙を防げない。梅村聡氏と井上清成氏の対談。記者が当事者になって気づいたことほか。


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第1回取が多いほど血圧上昇は大きい、との結論になりました。 しかし実は最近まで、食塩の過剰摂取がなぜ血圧を上昇させるのか、詳しい仕組みは分かっていませんでした。 食塩を過剰に摂取すると、本来ならその主成分であるナトリウムが多く尿に含まれ、体の外に排泄されるよう、腎臓が調節機能を発揮します。ところが、日本人の3∼4割では、食塩の過剰摂取によって、この機能が低下してしまうらしいのです。 ナトリウムが体内に過剰にあると、この濃度を薄めよう塩はできるだけ減らした方が体に良い」。そんなの知ってる、と思いますよね。 食塩の摂り過ぎは、心臓や血管の細胞に悪影響を及ぼすとされ、さらには胃がんや骨粗そしょう鬆症などとの関連も指摘されています。そして何と言っても、「塩分過多は高血圧を招く」。今や常識に近い話です。 実際、世界52カ所1万人を対象とした大規模研究で、尿中のナトリウム排泄量(食塩摂取量と相関します)と血圧の関係を調べた結果、食塩摂と水分が引き止められます。血液の量も増えます。血圧は、血管を内側から押す血液の圧力ですから、血液の量が増えれば血圧も上がるのです(ちなみに、水をたくさん飲んでも血流量が増え、一時的に血圧は上がります!)。 ところで、なぜ「高血圧は良くない」のでしょう? そもそも食塩とは関係なく、誰でも加齢と共に血圧は徐々に上がっていきます。血管の傷み、つまり動脈硬化が進むからです。 血管がしなやかでなかったり内部が狭まったりして流れにくくなると、血液が通る際、より大きな圧力がかかるようになります。これで血管がさらに傷むという悪循環です。 この悪循環を放置すれば、脳の血管が破れたり詰まったりする脳卒中や、血流の悪くなった心臓が壊れてしまう虚血性心疾患、腎臓の毛細血管がダメになって老廃物の排泄が滞る腎不全など、命に関わる事態に加速度的に近づいてしまいます。 つまり高血圧は、それ自体が血管を傷める悪循環をひき起こすので「良くない」ですし、歳相応以上に血管が傷んだ高リスク状態のサインなので「良くない」のです。 さて、高血圧は、生活習慣病の一つです。ただし本人に自覚は薄いので、大昔から病気だったということではなくて、医療の進歩に伴って「歳相応以上にリスクが高くなった状態」が分かるようになり、病気扱いされることになったというものです。 あくまでも「高リスク状態」なので、一定ラインを超えたら即危険、それ以下なら安心、という性質のものではありま「食身近な健康話、突き詰めて確かめたことはありますか? 視点を変えると、違う理解につながるかもしれません。高血圧はいけないの?ほりごめ・かなこ●本誌専任編集委員。米ミシガン大学大学院環境学修士。小学生2人の母。文:堀米香奈子イラスト:オオスキトモコオオスキ・トモコ●イラストルポを得意とするイラストレーター。食品の安全性や「食」まわりの記事・イラストを多く手掛ける。武蔵野美術大学卒。歳をとれば上がる生活習慣病とはLOHASMEDICALVIEW3


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