ロハス・メディカルvol.141(2017年6月号)

ロハス・メディカル2017年6月号です。「口から人生を豊かに」3回目は、歯痛の原因です。武井典子氏voice。新連載「健康情報しらべ隊」スタート。分煙では受動喫煙を防げない。梅村聡氏と井上清成氏の対談。記者が当事者になって気づいたことほか。


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が進みます。学校では、唾液を消化と関連付けて学習するので、「消化を助ける液」という印象が強いのですが、それに限らず、多くの働きを持っています。口腔内を洗浄したり、保湿したり、口腔内のPH(酸性度)を適切に維持したり、殺菌したりもしています。 この唾液が、寝ている時には少なくなるので、細菌が好き勝手に悪さをします。それを制するため、就寝時と起床時の歯磨きが大切になってきます。 今回ご紹介する書籍のタイトルは『歯はみがいてはいけない』となっています。ですが、決して歯を磨くなと言っているわけではありませんので誤解のないようにしてください。唾液がたくさん出る時、必要以上に唾液の働きを抑制してしまうような歯磨きは勧められない、デンタルフロスなども上手に活用すべき、と述べているだけです。 細菌が糖を分解して作るのは酸だけではありません。ネバネバとしたもの(グルカン)もあります。ネバネバと細菌の集団が一塊になったものをプラーク(歯垢)と呼びます。 ネバネバが作られて間もない頃は、歯ブラシで磨くことによって取ることができますが、24時間以上経ってくると取れにくくなり、そのうちプラーク自体が石灰化されて歯石になっていきます。歯石になってしまうと、もう手遅れ。歯科医院で、適切な器具を使って取り除いてもらうしかありません。 このプラークを大好きなのが歯周病菌です。多くは、嫌気性菌といって無酸素状態の方が増殖しやすく、酸素が少ないプラークの中で、どんどん増殖します。 歯周病は、文字通り「歯の周り」に不具合が起きる感染症です。細菌が増殖し、歯茎が赤く腫れ、出血します。免疫細胞がやってきて闘うのですが、炎症が酷ひどくなってくると、歯の根元や歯茎の組織が侵されてしまいます。歯は水晶ほどの硬さのエナメル質で覆われていますが、歯茎から出ている部分(歯冠)だけが覆われているので、歯の根元は簡単にダメージを受けます。また歯を支える骨も溶け、歯がグラグラになり、やがて抜けていきます。また、歯周病菌が血管に入り、全身に回っていきます。最近では心疾患や糖尿病などとの関連も指摘されています。 歯周病は中高年の病気と思われがちですが、軽度なものも含めると、実は20代で約7割がかかっています。 歯を失わないためには、磨き取れるうちに、ネバネバを除去し細菌を増やさないことです。これをプラークコントロールと呼びます。これこそが歯ブラシを使って日々行う「歯磨き」の最大の目的と言えます。そして定期的な歯科受診は、プラークコントロールできているか、チェックしてもらうことなのです。LOHASMEDICALVIEW毎回、本文と関係のある本をご紹介していきます。公益財団法人ライオン歯科衛生研究所編ダイヤモンド社 2017年森昭著講談社 2016年もっと知りたい方に歯はみがいてはいけない歯みがき100年物語13ネバネバを除去


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