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医療機関医療機関送付返戻コンピュータでのチェック審査委員による審査審査委員会による決定請求通りの支払査定職員によるチェック※1 ただし、根拠法がそれぞれ異なるので、法的には2組織あるのが正しい。組みが温存されてきたのは、保険間や都道府県間の差の存在に医療機関や保険者の一部は気づいていたものの、それが明らかに不合理な格差であると主張するほどの客観的な証拠を、外部から集めるのは極めて困難だったからです。結果として、国民がこの問題を知ることもなくここまで来ました。 格差の一端がハッキリ可視化され、それが想像以上に大きいと分かったのは、昨年11月の厚労省「データヘルス時その都道府県で使われる医療費が、すべてその都道府県の人たちの保険料によって賄われているなら、基準が別々でも、他地区の人間がとやかく言う問題ではありません。 しかし実際には、被用者保険の保険料や公金など全国一体で賄われている部分が相当にあり、であれば都道府県によって基準が異なるというのは、不公平です。それがどの程度の不公平になっているのか、その不公平さを甘受すべきメリットはあるのか、確かめる必要があります。 そもそも、診療報酬請求書(レセプト)が紙だった時代は、ブツの輸送・保管を考えると、多少の不公平はあるにせよ、都道府県支部で審査するのが費用対効果的に最も優れていたという可能性は高そうです。しかし今や、ほぼ電子化されました。都道府県支部ごとに審査しなければならない合理代の質の高い医療の実現に向けた有識者検討会(第5回)」でした。支払基金だけでもローカル・ルールが約11万5千件もある、とワーキングループが報告したのです。 支払基金でのレセプトの審査は、図2のような流れで行われます。 コンピュータにかけて何も問題がなければ、そのまま支払いへ回ります。しかし、あらかじめ入力されたチェック項目に引っ掛かった場合、付箋が付けられます。審査機関の職員がそれを見て、医師・歯科医師・薬剤師などで構成LOHASMEDICALVIEW図2支払い基金での電子レセプトの流れ的な理由は、費用負担者たる国民の立場からは存在しません。 まして、被用者保険の社会保険診療報酬支払基金(支払基金)、国保の国民健康保険連合会(国保連)という2つの審査支払機関を並立させる合理的な理由は、紙の時代から存在しませんでした(※1)。医療機関なり保険者が、どちらかを任意に選べるというのであれば、2組織による競争が起きて質の向上を見込めたかもしれませんが、そうではないので2系統ある分だけ医療機関や保険者の事務を煩雑にしています。また別々に審査することによって、同じ医師にかかっていても認められる医療行為の範囲や解釈が保険の種類によって異なることになり、そんな格差の存在に住民が気づいたら大騒ぎになっていても不思議はありませんでした。 このような不合理な仕27紙時代の名残りついに可視化