足・脚のむくみ |
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投稿者: 堀米香奈子 | 投稿日時: 2009年05月07日 00:08 |
足・脚のむくみに悩む人は、特に女性に、かなり多いのではないでしょうか。病的でなくとも1日の終わりになるとパンパンに張って、靴もきつくなってしまう、なんてめずらしい話ではありません(ちなみに「あし」は、脚=太ももからすねまで、足=くるぶしから先、と書き分けます)。
そんな、足・脚のむくみがなぜ起きるのか、どうしたら良いのかご説明しつつ、参考になる分かりやすいサイトを当方の独断で選びご紹介します。
※ちなみに、「むくみ」は、医学的には「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれます。
どうして脚がむくむのか、簡単に言ってしまえば、血液やリンパ液の流れが悪かったりして、重力に負けてからだの下のほうに溜まってしまうからです。なぜそんなことがおきるのでしょうか(それほど目立って生じない人だっているわけですから)。
それはヒトの“動物”としての体の構造と関係があります。人間もさかのぼれば、よつんばいで歩き回る動物でした。そのため心臓や動脈、静脈などの血管も本来、そうした生活に適して発達してきた器官なのです。ところが人間は進化の過程で、地面に垂直に立つようになってしまいました。そのため地面近くまで流れていった血液を重力に逆らって心臓に戻す必要が出てきたのです。
じっさいそれはかなり大変なことなのですが、それでもヒトは、脚の下のほうの血液を心臓へ戻す働きを発達させました。
ひとつが、「ふくらはぎの筋肉ポンプ」。脚を動かすことで、ふくらはぎの筋肉がポンプのように静脈(体から心臓に向かう血液の流れ)内の血液を心臓へ送り込むのです。もうひとつは、「心臓が吸引する働き」。心臓が縮こまって血液を体に送り出すと、次には反動で心臓内部がひろがり、その瞬間に血液が引き戻されてくるわけです。さらに、複式呼吸をするときに顕著な「呼吸ポンプ」もあります。息を吸ったときにお腹の圧力が強まり、静脈が押されます。そして反対に息を吐くと圧力が弱まって、静脈の流れが促されるのです。
しかし、そもそもが重力に逆らったシステムなので、どうしても脚の下の方には血液がたまりやすいのです。すると脚の静脈内の圧力が上がり、血液中の水分が血管の外に向かって押し出されるように働きます。これがきちんと血液内に戻りきらないと、「むくみ(浮腫)」となってしまうのです。一日中じっと立っているような仕事は、ポンプも働かないまま重力がかかり続けるので、それだけむくみやすいのも致し方ないということになります。
さて、それではどうすればよいのか。
病的でないむくみの場合、要は脚から心臓に戻る血液の流れを助けてあげることが重要です。体が発達させた仕組みを考えれば、脚首の運動や腹式呼吸の体操など、ポンプの仕組みを担っている筋肉を動かしたり刺激したりすることが有用なようです。
一方、病的なむくみの場合は、たいていが「リンパ性浮腫」とよばれるもの。体の組織に滲み出て使われた水分はそのまま静脈に戻りますが、たんぱく成分はまずリンパ管に入って、そこから様々な経路を経て静脈へ合流します。しかしリンパ管が何らかの原因で詰まると、入れなかったたんぱくがたまってしまうのです。このたんぱくが実は水分をひきつける性質を持っているため、「むくみ」を引き起こすのです。原因としては、先天性のほか、最も多いのは、がん等の外科手術後に発症するケースです。ただ、その場合もマッサージなど、静脈やリンパの流れを整える療法がまずとられます。薬物はかなり限られ、また外科手術も相当程度に悪化した場合のみ行われるそうです。
だいたいのことがわかった上で、以下、病的でないむくみと、病的なむくみに分けて、参考サイトをご紹介します。明らかに病的な場合は、まずは医療機関を受診してください。
【病的でないむくみ】
女性に多く見られます。一日の終わりごろ、立ち仕事などをしている人に顕著です。ひどいと、指で押しても戻るまでに数秒以上かかることも。見た目だけでなく、だるさを伴うことが多いようです。(赤くなって腫れていたり、痛みを伴う場合は病的なむくみと考えてください。)
●意外に多い脚のむくみ(共同通信社MedicalNews 最新医療情報)
・・・脚のむくみについてざっと知りたい方に。だいたいのことが、さっと読めます。弾性ストッキングについて紹介。
●リンパ浮腫以外のむくみ ―女性特有のむくみ (むくみのページ ~リンパ浮腫の治療~ より)
・・・夕方になると脚がむくむ医学的なしくみが図入りで解説されています。
●血管の赤信号! むくみ根本改善術 (NHKためしてガッテン!番組HP)
・・・脚のむくみに関する実験と、自分でできる改善方法が載っています。ちょっとした息抜き感覚で読んでも面白いかも。
【病的なむくみ】
上記のように、リンパ浮腫がもっとも代表的です。がん手術によるものや先天性のほか、感染症や外傷による場合も。この場合は女性男性は関係ありません。いずれの原因であっても、思い当たるようだったら、まずは内科等を受診してください。大きい病院ではリンパ浮腫外来も増えているので、各院に問い合わせてください。
●リンパ浮腫(メルクマニュアル医学大百科 家庭版)
・・・世界最大規模の製薬会社メルク社がつくる歴史ある医学辞典の日本語訳ウェブ版(万有製薬提供)。1ページでリンパ浮腫の概要がわかります。
●むくみのページ ~リンパ浮腫の治療~
・・・リンパ循環を専門としている内科医によるサイト。図解が多く、ページも適量で読みやすいです。
●リンパ浮腫 (徳島県医師会公式HP)
・・・医療現場での対応や方針そのものがわかります。
なお、脚だけがむくんでいる(腫れや痛みもない)場合は、たいがい命にかかわるような病気ということはないようです。ただし、細菌が入ったりすると深刻な事態を引き起こしますので(蜂窩織炎(ほうかしきえん)等)、放置や油断は禁物です。
また一方、原因がわからないのに全身がむくんでいるような場合、心不全や低蛋白血症、肝不全・腎不全など、深刻な病気がもとになっていることがありますので、直ちに医療機関を受診するようにしてください。
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