ロハス・メディカルvol.110(2014年11月号)

『ロハス・メディカル』2014年11月号。寝たきり予防にフレイル予防、呼吸同期照射、交代勤務と睡眠、脂質を摂り過ぎると酸化、がんと慢性炎症の関係、即席ラーメンで女性はメタボ危機、アドバンス・ケア・プランニングほか


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がん医療を拓く遺伝子変異なくても慢性炎症が招くがん長く、がんは遺伝子変異によって起きると考えられてきました。しかし近年、特徴的な変異がなくても発生するタイプのがんもあることが分かってきました。その原因となるのが「エピゲノム」の異常で、その異常は慢性炎症によって起きやすくなります。「エピゲノム」を簡単に説明すると、ある細胞で、どの遺伝子を使って、どの遺伝子を使わないかの目印です(図)。一度付いた目印は、自然には一生外れません。 目印が一生外れないために、特定の種類の細胞からは同じ種類の細胞が生まれることになります。ある日突然、皮膚の細胞から内臓の細胞が生まれたら大変ですよね。ヒトをはじめとする多細胞生物では、エピゲノムによる遺伝子発現の制御は、必須の仕組みなのです。 ただし、変な目印が付いてしまうと、遺伝子変異が起きたのと同じことになります。例えば「がん抑制遺伝子」に発現させないという目印が取り付けば、がん抑制遺伝子にき慣れない言葉が出てきたかと思います。聞エピゲノム目印の例(DNAメチル化)18LOHASMEDICAL体のあらゆる細胞は、どれも同じ全遺伝情報(ゲノム)1セットを持っている。しかし、体の部位によって細胞の形も役割も大きく異なる。それは、細胞ごとに発現する遺伝子が異なるからで、発現させるかどうか細胞の種類ごとに遺伝子に異なる目印が付いている。この目印の集まりを、ゲノムと対比させて「エピゲノム」と呼ぶ。目印には、この他にヒストン修飾というものもある。遺伝子を使うか使わないかを制御している部分DNAがメチル化されてる状態DNAがメチル化されていない状態使えない使える遺伝子DNAメチル化により使えなくなった遺伝子MMMM


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