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第39回どい・ゆうこ●1978年東日本学園大学(現・北海道医療大学)薬学部卒。病院勤務後、93年に(株)第一臨床検査センター(現アインファーマシーズ)入社、薬剤師研修を担当、2009年より現職。神戸薬科大学非常勤講師、北海道大学大学院非常勤講師、帝京大学非常勤講師として、「薬剤師教育指導論」や「リスクマネージメント」を教えている。短くなることです。ちゃんと病名が付いていて、日照時間に関連した心と体の変調を「季節性情動障害(SAD)」と呼びます。この問題は、緯度の高い地域ほど深刻なようです。 これには、感情や気分をコントロールし、精神の安定に深く関わっている「セロトニン」という脳内物質が関係しています。セロトニンが不足すると、脳の機能が低下し、精神面ではストレス障害やうつ症状、睡眠障害などの変調をきたします。肉体面で、消化や排便、体温調節に変調が起きます。の住んでいる札幌では、この原稿が出る頃、初雪の便りが聞こえているかもしれません。日に日に日照時間が短くなり、何となく元気がなくなるような感覚は、ありませんか? 薬局にも、冬になると、心を含め不調を訴える方が多くいらっしゃいます。 症状としては、「考えがまとまらない」「疲れやすい」「イライラしやすい」「落ち込みやすい」「朝起きられない」「睡眠時間が長くなる」「食欲をコントロールできない」「体重が増える」など。 原因の一つは、日照時間が(株)アインファーマシーズ上席執行役員土居由有子 セロトニンは、必須アミノ酸のトリプトファンが脳内に入り、合成されます。太陽の光を浴びると、目から脳に信号が出され脳内のセロトニン合成が活発になります。日照時間が短くなると不調を訴える方が増えるのは、合成が低調で、脳内でセロトニンが不足したと考えられます。 では、日照時間が短くなってきたら、どうしたらよいのでしょう。 まずは朝20∼30分の日光浴で、体を目覚めさせましょう。ウォーキングなど一定のスピードで同じ動作を繰り返すリズム運動が、セロトニンを効日照時間減っても体調崩さないコツ私果的に増やすと言われています。食事をよく噛むことも、一種のリズム運動ですね。 トリプトファンは魚、肉、大豆製品、乳製品、卵、ナッツなどに多く含まれます。それをセロトニンへ合成する際にはビタミンB6が必要です。サンマやイワシなど青魚に多く含まれ、肉、レバー、バナナなどにも含まれます。炭水化物は、トリプトファンが脳内に取り込まれる助けをします。穀類、イモ類などにも多く含まれています。これらのバランスの良い食事も心掛けたいものです。 トリプトファンのサプリメントも市販されていますが、まずは運動や食事など生活を整えましょう。生活だけでは症状改善が難しいということでサプリメントを購入する時も、薬剤師に相談しましょう。何か生活のヒントを教えてもらえるかもしれません。 日照時間の短さに負けず、元気に冬を過ごしましょう。LOHASMEDICALVOICELOHASMEDICAL