ロハス・メディカルvol.110(2014年11月号)

『ロハス・メディカル』2014年11月号。寝たきり予防にフレイル予防、呼吸同期照射、交代勤務と睡眠、脂質を摂り過ぎると酸化、がんと慢性炎症の関係、即席ラーメンで女性はメタボ危機、アドバンス・ケア・プランニングほか


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眠時間、ストレス、規則正しい生活など大切な要素がたくさんあります。どれか一つだけを強調している時点で、怪しいと思うべきです。 なぜこのように真偽不明の健康情報が出回るかというと、日本では高校で保健体育を修了して以降、テレビや雑誌などから健康情報を得ることが当たり前になってしまっているからだと考えます。それらのメディアでは、情報の「正しさ」や「必要性」よりも、スポンサーからの広告料や視聴者からのウケのよさの方が重視されます。ですから健康知識の普及啓発については、マスメディアに頼るのではなく、専門家たちが別の仕組みで担う必要性があると思っています。 必要な仕組みとして、まずは、小学校の教育課程に「健康科」のような、身体機能について基本的なリテラシーを 三つ目に、糖質を制限した食事で、そもそも人生が楽しいのかという点です。時々ならケーキや饅頭もストレス解消に有効です(少なくとも私にとっては)。健康が大切な理由は、楽しく充実した人生を送るためです。ここが本末転倒になっては意味がありません。 もう一つ、寝る前に水を飲んで脳梗塞を予防するという健康法も考えてみましょう。確かに一理ありますが、水を飲んで血液の濃度が薄まるのは飲んだ直後の1時間ぐらいです。夜中にトイレに起きて転倒するかもしれないリスクを考えると、寝たきりを防ぐという観点からみれば、どちらがよいのか分かりません。 このようによいと言われていることには必ず別の側面があります。健康な体を維持するには、適度な運動、酒やタバコなどし好品の摂取量、睡得る科目があるべきだと思います。医療費や保険料の仕組みなどの話も同時にしていくことで、マクロの視点を持って医療を捉えることができるようになると思います。 企業の健康保険組合(健保)などが加入者に対して健康教育を行うことも大切だと思います。健康な加入者が増えれば健保財政の健全化にもつながります。そもそも労働者が健康でよりよく働けることが、企業という組織全体を守ることにもなります。 医療従事者も、国民の健康の維持増進のためにもっと地域との関わりを持っていくとよいと思います。例えば、医師が患者に必要な運動を地域のスポーツジムにオーダーしたり、栄養士がレストランと協同してメニューを開発するなど、できることは多いはずです。 その代表としての日本医師会も果たせる役割は大きいはずです。例えばタバコ反対を大きく掲げ、国民の利益追求をしていくという立場を明らかにしてもよいと思います。地区の医師会なら、講演会などをしているところが多いと思いますが、個人の状況に応じた質問を受けたり、アドバイスしたりできる機会があってもよいと思います。看護師や栄養士、リハビリ職などの専門職団体も同様に工夫できると思います。 患者側に医療のコスト意識を持ってもらう教育も必要になるでしょう。例えば糖尿病予備群の人には、今後の病状の予測だけでなく、必要な医療費や、国の財政負担がいくらぐらいになるのか、といったマクロの情報を伝えていくことも必要ではないでしょうか。 これらの仕事を医療従事者の正当な職務として、診療報酬を付けていくことも考えられるかもしれません。健康な人が増えるなら財源は出てくるはずです。医療従事者の役割健康知識の普及啓発LOHASMEDICALVIEWLOHASMEDICAL


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