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LOHASMEDICALVIEW平成20年度 厚生労働省 老人保健健康増進等事業 地域における終末期ケアの意向と実態に関する調査研究(主任研究者:池上直己)報告書よりについての意向を家族で一度も話し合ったことがない」と答えたのが一般人の半数以上で、「終末期医療に関する(自分の)希望を、代理決定者となる人が理解している」と答えられた人は、医療者ですら2割、一般人では1割もいませんでした。(下図参照) 実に80%以上の人は終末期医療や延命医療に関する十分な話し合いの場を持てていないのが現状です。 最近、様々なメディアにおいて「エンディングノート」や「終活」といった終末期に関する話題が取り上げられるようになりました。 医療関係者の間でも、「終末期医療」をテーマにした講演会やカンファレンスが、様々な「場」で開催されるようになっています。 これに関連して「アドバンス・ケア・プランニング」という言葉を耳にするようになりました。 「アドバンス・ケア・プランニング」は、「将来の意思決定能力の低下に備えて、今後の治療・療養について患者・家族とあらかじめ話し合うプロセス」と定義されています。このプロセスには、患者や家族の「希望」や「価値観」から、「事前指示(書)」や心肺蘇生法を行わないこと(DNAR)など、幅広い内容が含まれています。 特に終末期医療に限ったものではありませんが、この「アドバンス・ケア・プランニング」という言葉を聞いてピンとくる人は、医療者においてもまだ少ないのが今の日本の現状です。 日本は2007年に高齢化率が21%を超え、世界に先駆けて超高齢社会に突入しました。今も、猛烈なスピードで高齢化が進行しています。(※亀田総合病院のある安房地域の2014年4月1日時点での高齢化率は36・4%。) 先の調査からも分かる通り、日本では終末期医療や延命医療について、考えていない、話せていない人が少なくないことは明らかですが、一方で、終末期医療を必要とする高齢者が増えることが確実視されています。その一人ひとりの意思を最期まで尊重するためには、まずは個人の意思を明らかにすることが重要です。しかし実はそれだけでは足りません。代理人となりうる人に意思を伝える場、個人の意思(価値観)を共有するようアドバンス・ケア・プランニングあなたが終末期医療の希望を明示できなくなった時、決めてほしいと考えた人は、あなたの終末期医療の希望について、どの程度知っていると思いますか(%)起きている現実と課題020406080100(%)一般医療者正確に知っているまあ知っている実はよく知らない全く知らない無回答29LOHASMEDICAL