ロハス・メディカルvol.112(2015年1月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年1月号です。


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 加齢による筋肉の減少に関しては、色々な人が色々なことを言っていますが、日本人の筋肉量を実測して導き出したのは、谷本医師が成人約4000人で計測した結果だけです。 それによれば、特に減少の著しいのが下肢で、80歳の時には20歳の時より3割減っていると推定されます(表)。大事だけれども減りやすい、それが下半身の筋肉なのです。最も減るのは下半身20歳時と80歳時の平均推定筋肉量(KG)と減少率(%)高槻市保健所 主幹谷本医師らによる調べ。日本老年医学会雑誌2010より一部改変サルコペニア筋肉量が減り、筋力か身体機能が落ちた状態エネルギー消費量フレイル※の悪循環低下食欲・摂取量低栄養疲労基礎代謝低下活力低下身体機能(歩行速度)低下筋力低下活動度低下低下なっていると何が起きるでしょう? 高槻市保健所に勤務し大阪医科大学非常勤講師でもある谷本芳美医師が地域の高齢者の筋肉量を計測しつつ大規模に追跡した調査によれば、サルコペニアの人は、正常の(筋力・身体機能・筋肉量すべてが低下していない)人に比べて、年齢や体格の影響を考慮に入れても、男性で4・4倍、女性で2・3倍、転倒を経験していました。転倒が、大腿部骨折から寝たきりへとつながる危険な事象であることはご存じですね。 また、サルコペニアと判明した時点では生活機能障害がなかったのに、2年後に調べたら発生していたという人が、男性で3人に1人、女性で5人に1人いました。サルコペニアの人に生活機能障害の発生する確率は、やはり年齢や体格の影響を考慮に入れても、男性で正常な人の45倍! 女性でも10倍でした。 考えてみれば当たり前の話で、サルコペニアになっているということは、ほぼ自動的にフレイルの悪循環にも入り込んでいることになります。放っておいて良くなるはずがありません。谷本芳美上肢下肢体幹部全身男性20歳時5.5KG20.7KG26.1KG52.3KG80歳時4.6KG14.3KG24.6KG43.5KG減少率16.4%30.9%5.7%16.8%女性20歳時3.3KG14.4KG18.6KG36.3KG80歳時3.2KG10.3KG18.8KG32.3KG減少率3.0%28.5%- 11.0%LOHASMEDICAL


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