ロハス・メディカルvol.112(2015年1月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年1月号です。


>> P.23

もつながります。  対症療法としては、便を柔らかくする緩下剤と、腸を動かす刺激性下剤の2種類が、あらかじめ処方されます。適切な服用量の見極めが必要ですので、服用の仕方は医師に相談してください。  そして実は便秘を根本的に回避させる画期的な併用薬が開発され、欧米では既に使われており、日本でも治験段階にあります。 開発のきっかけは、ちょっとした発想の転換でした。  オピオイドによる呼吸抑制などの緊急時には、オピオイド受容体拮抗薬(受容体に取り付いて働きを妨げる薬)のナロキソンが使われます。ただし痛みが戻ったり、退薬症状(いわゆる禁断症状)が現れる弊害もあります。注射剤なのですぐ血中から脳に達し、そこでオピオイドの働きを遮断してしまうためです。  「それをあえて経口投与してみたのです。すると鎮痛効果には影響なく、腸でのみオピオイド阻害効果が働いて、結果的に便秘が解消されました」と下山教授。鎮痛効果に影響がなかったのは、内服すると消化管から吸収された直後に通過する肝臓で多くが分解されて、脳のオピオイド受容体まで到達できないためでした。  欧州では既に、オキシコドン徐放製剤とナロキソンの合剤が作られています。たくさんの錠剤を飲まずに済むのがメリットです。また、内服による副作用低減の仕組みをヒントに開発されたのが、血液脳関門を通過できないオピオイド受容体拮抗薬の注射剤「メチルナルトレキソン」です。どちらも日本での実用化が待たれますね。 鎮痛が十分でない別のオピオイドに変更内服が困難になったオキシコドンモルヒネ内服フェンタニル・パッチLOHASMEDICAL


<< | < | > | >>