ロハス・メディカルvol.112(2015年1月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年1月号です。


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第16回円へと迫る勢いで増え続けており、国は社会保障費を抑制しようと躍起です。社会保障国民会議で、特に高度急性期の病床を少なくする方針が打ち出されているのもこのためです。 今回の地域医療ビジョンは、病床数をこの方向でコントロールする方法として考え出されました。各都道府県は病床機能報告の内容を見て、高度急性期、急性期、回復期、慢性期などの病床配分を決めます。結果として、現在高度急性期を提供している病院が療 先の通常国会で成立した「医療介護総合確保推進法」で、各都道府県が「地域医療構想(ビジョン)」を策定することが決まりました。25年にめざすべき医療提供体制と、それまでのロードマップを示すものです。策定の参考にするため、今年10月から各医療機関には、普段どのような医療を行っているかを都道府県に報告する「病床機能報告」が義務づけられました。 日本の医療費は年間約40兆養型など別の役割を担うよう計画されるかもしれません。 在宅医療が推進されているのも同じ流れです。自宅で療養する人を増やし、病院での看取りなどを増やさないようにして医療費増大を抑えるという考え方です。 ビジョン策定後は、私たちの受ける医療の体制が、現在から大きく変わることが予想されるのです。 もちろん、自然に死にゆく過程を考えれば、看取りに高度医療は不要です。 ただ、国民全員がそれを受け容れるかというと、難しいでしょう。 いくつかの選択肢の中から在宅看取りを望むというのなら構いませんが、高齢者や家族の中には「できる限りの処置を尽くしてほしい」と考える人もいます。最初から高齢者に高度急性期医療を受けさせないという考え方には反発が出るでしょうめむら・さとし●内科医。前参院議員、元厚生労働大臣政務官。1975年、大阪府堺市生まれ。2001年、大阪大学医学部卒業。2015年4月から、各都道府県は25年に向けた医療提供体制計画「地域医療構想(ビジョン)」の策定を始めます。これを行政だけに任せていると、厚生労働省の思惑通りの中央集権体制にされてしまう可能性があります。住民や医療者の代表は積極的に参加すべきだと思います。地域医療ビジョン策定に医療者や住民代表は参加を背景に医療費抑制LOHASMEDICALVIEWうし、診療してもらえなかったことによる怒りや悲しみの残る遺族もいると思います。また、終末期の高齢者に高度な医療を行わないという考え方が広がり過ぎることで、本当に必要な医療が差し控えられるということがあってはいけません。高齢者でも、必要なら一度は高度急性期医療を受けられる、という余地を残しておくべきだと思うのです。もちろん、ずっとICUなどで医療を受け続けるのではなく、急性期を過ぎれば療養病床などの緩やかな医療に移っ30LOHASMEDICAL


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