ロハス・メディカルvol.114(2015年3月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年3月号です。


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本人(介護者)看護ステーション緩和ケア施設病院その他在宅医福祉保健行政市民団体在宅医ネットワーク主治医患者家族会NPOピュアふじた・あつこ●末期がんの家族看護をきっかけに2001年、NPO法人「ピュア」を設立し、現職。2012年に国際医療福祉大学大学院修士課程を修了(医療福祉学)、博士課程3年在籍。千葉県がん対策審議会専門委員、船橋市地域在宅医療連絡協議会委員等を兼務。著書に「在宅療養をささえるすべての人へ―わが家がいちばん」(共著)など。 2008年の厚労省「終末期医療に関する調査」では、「自宅で最期まで療養することが実現困難な理由(複数回答)」は、「介護してくれる家族に負担がかかる」が約8割を占めました。次いで「症状が急変したときの対応に不安」が5割強。 終末期の患者を自宅で支える家族の負担や不安が大きく、患者もそれを心配した結果、病院での最期を選択しているというのが現実なのです。 「千葉・在宅ケア市民ネットワークピュア」(藤田敦子代表、以降は「ピュア」と記載)は、このミスマッチを正し、患者や家族が本当に望む場所で最期を迎えられる社会にすべく、千葉県で在宅ホスピスケアの推進を続けてきました。 藤田代表が立ち上がったきっかけは、末期がんの夫を病院で看取ったことでした。病室に泊まり込み、眠り続ける夫を前に、藤田代表は「せめて最期のひと時を家で過ごさせてあげたい」と望みました。しかし当時は理解してくれる医療者も少なく、相談先もありませんでした。どこに電話したらよいか分からず、役所でも担当部署がなくたらい回しにされ、結局は諦めざるを得ませんでした。 夫の死後しばらくして、千葉県で在宅医療を熱心に行っていた医師と出会います。患者主体の医療を実践する姿に勇気づけられ、「在宅での最期を望む患者・家族を支える地域ネットワークを作ろう」と共に活動を始めた矢先、その医師ががんに倒れ、還らぬ人に。藤田代表は志を絶やさず奔走、2001年にピュアを発足させました。 以来、がんの在宅ホスピスの推進を出発点に、患者や家夫を看取って族に自助努力を強いることなくその自律をサポートし、望む最後を実現できる体制を社会システムとして整備するため、活動の幅を広げてきました。 「必要なのに他に誰もやる人がいなかったから」と、藤田代表は振り返ります。「当時は専業主婦で、右も左も分かりませんでしたが、とにかくまずは在宅ケアの情報が欲しい。そして情報を必要とする人に提供したい、その一心でした」藤田敦子LOHASMEDICAL


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