ロハス・メディカルvol.115(2015年4月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年4月号です。


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第19回介護度3以上の人に絞るという方針や所得が多い方の利用者負担増額も、ある意味妥当だと思います。 そもそも介護保険制度は、手厚いサービスとして始まりました。サービスが必要になった人を支え合う「保険」という制度から考えると、自力で動ける要支援状態の人に対する家事支援や介護予防サービスなどは対象に含めるべきだったか疑問です。最初からサービスを絞っていれば国民の期待もそこまでだったのに、いったん始めてしまうと、誰 今回の介護報酬引き下げによって、介護サービスの質の低下や人材、サービス不足を懸念する声が上がっています。私も、できれば報酬引き下げを避けてもらいたかったとは考えていますが、財政面から考えると仕方がない面もあるかと思います。介護報酬の総額は、制度が創設された2000年当時の年間約3兆円から、今や約10兆円にまで膨らみ、国の財政負担は年々増加しています。例えば介護保険制度改革の中で決められた特別養護老人ホームの利用を要もがそれを当然と思い、後で絞った時に大きな批判を受けます。 厚労省が、高齢化の進展を分かっていながら手厚く始めてしまったのには、政治的な理由があったと言われています。介護保険制度創設に影響を与えた当時の政治家の多くは「負担は小さく、サービスは大きく」と考え、今後制度がどうなろうと気にしなかったのではないでしょうか。色々な事情や思惑があったにせよ、とにかく介護保険制度を魅力あるものにしようと手厚くしてしまったのです。ある意味〝長老政治〟の罪深さです。 とにかく、今のままでは国の財政への負担が年々大きくなって持続不可能になるので、制度の見直しは必要です。 ただし、介護業界は大きな雇用の場でもあり、その面からの目配りも必要です。うめむら・さとし●内科医。前参院議員、元厚生労働大臣政務官。1975年、大阪府堺市生まれ。2001年、大阪大学医学部卒業。国は2015年度に介護報酬を2・27%引き下げることを決め、介護従事者の待遇には影響しないよう、賃金を月額平均1万2千円アップする対策も出しましたが、こうした場当たり的なやり方では効果は少ないと思っています。まず非正規職員の多い介護従事者の雇用環境を整えてから制度改革を行わなければ、ますます人材もサービスも不足して、国民が困ることになるでしょう。介護は制度改革と同時に雇用環境を整えるべき非正規でも働きやすくLOHASMEDICALVIEW 今回、国は介護報酬を引き下げると同時に、介護従事者の待遇に影響を与えないための措置も行いました。事業者が月1万2千円の賃上げに相当する待遇改善計画を提出すれば、賃上げ分の報酬を税金や保険料から出すというものです。 ただ、その賃上げ分を除くと、事業者自体に入る報酬は実質4%以上減ります。事業者の資金繰りが苦しくなることは間違いなく、それに伴っLOHASMEDICAL


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