ロハス・メディカルvol.115(2015年4月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年4月号です。


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第44回どい・ゆうこ●1978年東日本学園大学(現・北海道医療大学)薬学部卒。病院勤務後、93年に(株)第一臨床検査センター(現アインファーマシーズ)入社、薬剤師研修を担当、2009年より現職。神戸薬科大学非常勤講師、北海道大学大学院非常勤講師、帝京大学非常勤講師として、「薬剤師教育指導論」や「リスクマネージメント」を教えている。ドブックも置かれていました。そのおもてなしの心に、出席者全員大感激でした。 台湾では、それ以前から存在していた複数の保険をまとめて1995年に単一の「全民健康保険」がスタートしました。単一保険のため政策導入が行われやすく、診断群分類による定額支払い制度や後で説明する総額予算制度が早くから導入されていました。加えて、日本で今話題の「マイナンバー制」が既に整っていて、生まれた時から一人ひとりの番号で医療を含めたあらゆる公的義務、権利が管理されています。月から、2月に訪問した台湾医療視察の報告を2回連続でします。 私はこの2年、国際医療福祉大学大学院の医療経営戦略コース(H-MBAコース)で学び、この春卒業しました。その卒業視察でした。 まずは、台湾の健康保険制度のご紹介から。 我々は、健康保険制度を管轄している「衛生福利部中央健康保険署」を訪問しました。意見交換の会議室には、既に自分のネームカードが置かれていて、ジャスミンティー、パイナップルケーキ、台湾の健康保険制度の日本語訳ハン(株)アインファーマシーズ上席執行役員土居由有子 2000年には既に電子レセプトの99・8%がオンライン請求で、ナショナルデータベースとして収集・分析、医療政策に活かしていました。 医療機関受診時には、日本の「保険証」と同様の「健康保険カード」を提出します。このカードには受診履歴や薬剤履歴、検査履歴が過去6回まで保存されています。今後は、受診履歴の追跡だけでなく、伝染病の追跡などにも役立てたいと説明がありました。昨年から、医療関連施設だけでなく、患者側も読み取りレコーダーがあれば自分の履歴を見ることができるようにな台湾の医療制度は徹底的に合理的今ったそうです。 日本の仕組みと最も異なるのは、先ほども触れた総額予算制度を各分野(病院、医院、歯科、漢方、その他)で導入していることです。これは、医療費が年間予算を超えそうになると、例えば通常なら1点10円支払うところ1点9・5円に下げて総額を超えないようにする仕組みです。どこの国でも、高齢化社会を迎えるに当たり医療費抑制に頭を悩ませているのだと感じました。ちなみに、台湾の2010年の国民医療費はGDPの6・4%です。 薬局に関連する仕組みとしては、処方箋は「指示書」と呼ばれ、院内で調剤してもらうのが基本なようです。ただ、90日を超える処方もあるので、最初の30日分だけ院内でもらって、残りは「指示書」と「健康保険カード」を持って院外の「健康保険特約薬局」で薬を受け取るという仕組みもありました。LOHASMEDICALVOICE29LOHASMEDICAL


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