ロハス・メディカルvol.116(2015年5月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年5月号です。


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がん医療を拓くリハビリでQOL向上がん患者のQOLを上げるためのリハビリテーションがあるって、ご存じでしたか? 既に保険収載もされています。に伸びました。がんになっても生き続けられる人が増えたことで、かつては命をつなぐことができれば御の字だったがん医療も、社会復帰を含めた治療後のQOL(生活の質)向上へと関心が広がっています。 その観点から注目されているのが「がんのリハビリテーション」です。と言われても、「がん」と「リハビリテーション」のイメージが結び付かないという方も多いと思います。 そもそもの所から書き起こしますと、リハビリテーションはラテン語で「再び(RE)適した(HABIRIS)状態になること」を意味します。世界保健機関(WHO)は「障害を持つ人もしくはその恐れのある人が、置かれた環境の中で最善の機能を獲得あるいも左表のように多岐にわたります。 がんのリハビリは、左図のように①予防的、②回復的、③維持的、④緩和的の4段階それぞれで、つまりがん治療の全般にわたって役割を担っています。なかでも、がんに特徴的なのが、予防的リハビリと緩和的リハビリです。 予防的リハビリは、がんという、障害や合併症の発生が予測できる疾患だからこそ可能です。 慶應義塾大学病院リハビリテーション科の辻哲也准教授は、「例えば、肺がんの開胸開腹手術後には呼吸機能の低下が起きやすいのですが、呼吸訓練などを行ってそうした障害に備えることができます。頭頸部がんの手術では高い確率で嚥えんげ下障害が起こりますし、舌を切除する場合もありますが、術前からリハビリ療法士療の進歩により、がん患者の生存率は飛躍的医24予防から緩和まで 2013年に策定された「がんのリハビリテーションガイドライン」に示されている対象がん種は、食道がん、肺がん、胃がん、肝臓・胆たんのう嚢・膵すいぞう臓がん、大腸がん、前立腺がん、舌がん、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、乳がん、婦人科がん、骨軟部腫瘍、原発性脳腫瘍、転移性脳腫瘍、血液腫瘍。対象にならないものを探す方が大変です。 そして、行われるリハビリは維持するのを助ける一連の手段」と定義しています。 この定義からすると、確かにリハビリは、がん患者さんが受けるに相ふさわ応しいものと言えます。がんそのものは克服できても、その過程で体の一部や機能などが失われ、社会復帰を困難にしたり、QOLを下げたりしていることが多いからです。4LOHASMEDICAL


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