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品からのコレステロール摂取量と血中量が関係ないなら、なぜ血中量の高い人と低い人がいるのでしょうか? まず第一に挙げられるのが、体質の差です。 血中のコレステロールは、肝臓と小腸から供給されます。小腸から血中に入るのは、食事由来のもの、肝臓で合成され胆汁に混じって排出されるもの、小腸粘膜から脱落した細胞に含まれるものの3系統です(図2)。 このうちの肝臓での合成量に個人差が極めて大きいのです。「食事からの摂取量の10倍合成するような人もいます」と解説するのは、帝京大学の寺本民生特任教授です。合成も吸収も個人差が大きい食LOHASMEDICALVIEW 次に挙げられるのが、やはり食事の内容です。病的とまではいかなくても、体質的に食事からの影響が出やすい人もいます。 また多くの人でもコレステロール以外にいくつかの栄養成分は、血中のコレステロール値と関係ありそうなのです。 そのことをよく理解させてくれるのが、平均血中コレステロール値の年ごとの変化を日米それぞれで追ったグラフです(図3)。意外なことに、 さらに小腸での吸収率にも個人差があります。 2004年、小腸粘膜でコレステロール吸収の主役を担う「NPC1L1」というタンパク質が見つかりました。翌年には、その設計図である遺伝子に、DNA配列が少しずつ違うバリエーション(多型)のあることも確認されました。遺伝子レベルで個人差があると分かったのです。 また日本人では500人に1人程度の割合で、遺伝子の異常によってLDLコレステロールを肝臓に取り込んで壊すことができず、LDLコレステロールが血中に大量に溜まってしまう「家族性高コレステロール血症」という病気の人たちも存在します。肝臓合成量を調節小腸血管小腸細胞由来(微量)一部は便と共に排泄食事由来コレステロール取り込みコレステロール合成コレステロール吸収胆汁排泄食べ物もやはり影響図2コレステロールの体内での動き