ロハス・メディカルvol.116(2015年5月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年5月号です。


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事の何が最も影響するのでしょうか? コレステロールの原料となる物質は、脂質、糖質、タンパク質の3大栄養素それぞれの分解過程で生じます。中でも、主に動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸が、コレステロール値を上昇させると信じられてきました。 飽和脂肪酸は、肉の脂身や、バターやチーズなどの乳製品に多く含まれます。『「日本人の食事摂取基準(2015年版)」策定検討会報告書』には、飽和脂肪酸の摂取量を減らすとLDLコレステロール値や動脈硬化度が下がり冠動脈疾患も減るのに対し、飽和脂肪酸を多く摂取する生活習慣は心筋梗塞につながり糖尿病を主犯は動物性脂肪?トランス脂肪酸?食LOHASMEDICALVIEW招く可能性がある、と書かれています。 同基準では、1日の総摂取エネルギーに占める飽和脂肪酸由来のカロリーを7%以下とするよう目標量を設定しています。先ほどご紹介した米農務省と米保健福祉省の草案も、飽和脂肪酸については2010年版の10%制限では足りず、8%が適切としています。 ただし、飽和脂肪酸や動物性脂肪を十把一絡げに悪者扱いするのは間違いです。 2006年の米国医師会雑誌に掲載された論文では、5万人弱の閉経女性を平均8年間追跡した大規模臨床研究の結果、肉類も脂肪も通常に摂取した群と、低脂肪食を実践足が原因の可能性もあります。 肉類に含まれる脂肪酸を詳しく見ても、牛肉や豚肉に最も多く含まれるのは、実はHDLを増やす油として知られる一価不飽和脂肪酸のオレイン酸です。さらに飽和脂肪酸のパルミチン酸やステアリン酸も、LDLを減らしHDLを減らさない働きが確認されています。 肉類や乳製品は過度に恐れず適量摂取が良さそうです。 そもそも飽和脂肪酸の1日あたり摂取量は、典型的※な日本人30∼49歳が男性で15・3G、女性で13・9G(平成24年国民健康・栄養調査)なのに対し、米国人31∼50歳のした群で、コレステロール値に明らかな差は認められませんでした。それどころか、低脂肪食群で脳出血などのリスクが高くなりました。ただ、これは動物性タンパク質不典型が男性で31・4G、女性で20・3G(米国医学研究所食品栄養委員会2005年報告書)と、日本人は半分程度しかありません。 それなのに血中総コレステロール値は日本人の方が上回っているのです。日本人の方が飽和脂肪酸によってコレステロールを合成しやすいという可能性も考えられますが、体質だけで逆転までするものでしょうか。 この逆転の原因として俄がぜん然注目されるようになったのが、「狂った油」とまで呼ばれるトランス脂肪酸です。米国では約20年前から使用量が減少(図4。ただしマーガリンの推移)しています。 トランス脂肪酸は、常温で固まるよう液体の植物油などに水素を添加した硬化油(マーガリンやショートニングなど)に、副産物として多く含まれます。硬化油はバターなどに比べて安価で、揚げ物に使った場合はカラッっとした※中央値(小さい順に並べた時に真ん中に来る値)の人日米差は表示の差


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