ロハス・メディカルvol.117(2015年6月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年6月号です。


>> P.6

第21回回も〝器〟が変わったからと言って、すぐに日々の生活が激変するほどのことは考えられません。直ちに大きく影響を受けるのは、主に市会議員と市職員です。 住民にとって「今より良くなるのか悪くなるのか」は、〝器〟が決まった後で、議会などを通じて私たち住民が決めていくことです。投票までは大いに議論すべきですが、結果が出たなら、どうこう言わず、その〝器〟で今後の大阪をどう良くしていくか、全員で知恵を絞るべきです。特 大阪都構想は「結局よく分からない」と言われます。ある意味当然です。 今回の住民投票は、五つの特別区を新設するか、現在の府と市の関係のままにするか、という行政の〝器〟を決める話であって、個別政策の〝中身〟の詳細をも決めるものではないからです。 私は以前、大阪市に住み、その後池田市に移りました。転居の前後で大きなメリットデメリットを受けた記憶はありません。細かく見れば多少の差はあるのでしょうが、今に政治家はノーサイドとなって協力することが必要です。 さて、都構想について最も声高に言われたのは、「大阪都」を創れば府と市による「二重行政」の無駄をなくせる、ということでした。ただし、「二重行政」のすべてが「無駄」とも言えません。例えば、府立病院と市立病院が隣接していても、そのおかげで患者の待ち時間が短縮され住民の満足度が高くなり、病院の経営もうまくいっているなら問題ありません。行政サービスは需要と供給のバランスによって決まるものなので、提供の仕方はどうでもよいのです。以前、大阪市が「大阪ワールドトレードセンタービルディング」という高層ビルを造り、大阪府が同じ高さの「りんくうゲートタワービル」を建てた時、「似た建物を造って高さうめむら・さとし●内科医。前参院議員、元厚生労働大臣政務官。1975年、大阪府堺市生まれ。2001年、大阪大学医学部卒業。現在の大阪市を廃止し五つの特別区を新設する、いわゆる「大阪都構想」。この号が出る頃には、大阪市で行われた住民投票の結果も出ているでしょう。結果がどうあれ、方向性が決まったからには、大阪を良くするため、政治家にも住民にも一丸となって尽力してもらいたいと思っています。大阪都構想、結果はどうあれ住民にとって本番はこれから都構想の本質的な意味二重行政とは?LOHASMEDICALVIEWを競っている」と批判されました。これの問題は、そもそも住民のニーズに全く合っていなかったことです。高層ビルの需要が住民にあったなら、経済効果・相乗効果と称賛されたかもしれません。つまり都構想賛成派は「政策決定を一元化しないと同じことがまた起きる」、都構想反対派は「府と市が話し合えば、このような事態は避けられる」と言っているのです。 行政の〝器〟に関する本質6LOHASMEDICAL


<< | < | > | >>