ロハス・メディカルvol.117(2015年6月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年6月号です。


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ーの原則」と説明されます。大阪市民269万人に市長が1人である現状と、選挙で選ばれる5人の「区長」がいる「大阪都内の現在の大阪市域」と、どちらが住民ニーズにキメ細かく対応できるか。また、どちらが大阪を東京に負けない都市へと成長させることができるか、考えてみる必要があります。 関連するのですが、三つ目は、東京一極集中をどう考えるかです。地方の経済が衰退して若者が東京に流れ、しかし東京では人口過多の上に物価も高く、必ずしも生活が豊かとは言い切れません。また、女性が出産したいと思っても、東京では人口が多いためベッドが足りず、他方で地方は医師不足のため産科が不足しています。東京一極集中は、ほとんどの人にとって良い状態ではないと思います。バランスを考えたら、東京以外にも世界での発信力と競争力のある都市を育てることが必要で的なポイント、一つ目は税金の使い方です。税金は、住民の生活を支える制度やサービスを提供するということと、地域経済を回して、さらに税収につなげるということの二つの目的に使われます。リーダーが2人いるよりは1人の方が効率良く配分できます。ただし、大失敗する可能性も同時にあります。 二つ目は、時代認識です。戦後直後のように、経済成長をめざして一丸となっている時代には、中央集権的なやり方で効果のありそうな地域や事業に投資し、教育方法も統一してやる方が効率良く進みます。ただし、恩恵を受けられない市民も一部に出ます。社会が成熟してくると、住民のニーズは多様となり、中央集権的な方法はそぐわなくなります。そして、より住民に近い行政単位の方が住民の細かなニーズを反映できるようになります。これは行政学の分野では「ニア・イズ・ベタす。大阪が「大阪都」としてその「極」をめざすのか、あきらめるのか、まさに分岐点です。 今回の都構想は、大阪が治療困難な病気にかかっていると考えられたからこそ提案された「手術」です。元々が健康体だったら必要ないのであって、手術によって「完治をめざす」のか、「手術を回避して保存療法にする」のか、慎重かつスピーディーに決断しないといけません。 実際に手術を受ける時に大事なのは、患者本人がどう生きたいかの気持ちと、そのために自分の体と生活を見つめ改善する行動です。今回の〝住民投票〟も同じだと思います。自分自身の「体」のことなので「分からない」などと言わないで、一人ひとりがあらゆるネットワークを使って、必死に「手術内容」を調べるべきです。 また、橋下徹市長を好きか嫌いかという感情的な部分で議論を終わらせている場合ではありません。彼の発言や行動に賛否両論あるのは重々承知していますが、これほどまでの情熱を持って住民投票にまで漕ぎ着けた政治家がいなかったのも事実です。私を含め大阪の政治家は、その事実を冷静に省みるべきです。若い政治家のやることは気に食わないというだけで結託して潰そうとするのは、日本の悪しき慣習です。 ただし、都構想が可決されても、それは出発点に過ぎません。住民の考える力と行動力が今より求められます。 また、都構想が否決された場合、府も市も「自分たちは潰されない」という意識が強くなり、集団として傲慢な体質になることが予想されます。住民は心して監視していく必要があります。 いずれにせよイバラの道です。頑張りましょう。賽は投げられたLOHASMEDICALVIEW7LOHASMEDICAL


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