ロハス・メディカルvol.117(2015年6月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年6月号です。


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朝食の欠食/偏食朝食時差ボケ睡眠覚醒リズムが不規則になる(不眠の一種)過体重、肥満、心疾患リスク、高BMIが起こる海外旅行で起こる急性の時差ボケ症状と同じ変則的勤務で起こる慢性の時差ボケ症と同じLOHASMEDICALVIEW量が多いせいか、逆に不調は増えます。 柴田教授たちは、朝食の欠食や偏食と関連性のある不調の症状が、海外旅行などで起きる急性の時差ボケと、看護師や長距離トラック運転手など夜勤と日勤の混じった変則的勤務をしている人に起きる慢性の時差ボケ、両方の特徴を併せ持っている(図2)ことに気づき、これを「朝食時差ボケ」と名づけました。 これまでの研究から、朝食時差ボケは他の時差ボケと同様、体内時計のズレによって起きるものと見られています。 ヒトには生まれつき、地球の自転とほぼ同じ1日(24時間)周期で体内環境を変化させる仕組みが備わっており、その仕組みは体内時計と呼ばれています。体内時計には、脳にある「主時計」と、全身の細胞にあって「BビーマルワンMAL1」や「CクロックLOCK」といった複数の時計遺伝子によって調節されている「末梢時計」の2種類あります。両方が調和しながら周期を保ち、体内環境を整えています。 さて、「ほぼ1日(24時間)」というのは、実は体内時計の周期にはかなりの個人差があるため。平均で24時間10分くらいとの研究があります(一律「25時間」というのは、古い実験に基づく説で、間違いです!)。周期が24時間ぴったりの人以外は皆、外界の刺激によるリセットが必要です。 主時計は、強い光を浴びるとリセットされることが分かっています。自然界で言うと、朝日がこの強い光にあたります。 一方の末梢時計は、食事や運動により調整されることが分かっています。食事という行為自体が体内時計に影響を与えるだけでなく、食事の成分にも影響を受けることが報告されています。例えば、高脂肪食やカフェインは体内時計を遅らせ、カロリー不足や低炭水化物食、高食塩食は、体内時計を進めます(次頁図3)。 「朝食時差ボケ」は、朝食の欠食や偏食のため末梢時計がきちんとリセットされず、主時計のリズムや社会生活リズムとズレてしまった状態と考えられるわけです。朝食時差ボケとは体内時計のズレ


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