ロハス・メディカルvol.117(2015年6月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年6月号です。


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 BMAL1タンパク質には、脂肪を作って溜め込む酵素を増やす働きがあり、脂肪細胞内のBMAL1タンパク質量は午後10時から午前2時が最大で徐々に減って、午前6時前後から急速に減少します。最も少ないのは午後3時です。単純に言えば、日中は太りにくく、夜は太りやすいのです。朝食を抜いても、夜遅くまで起きていて夜食を食べてしまえば、同じ3食でもより太りやすいことになります。 1日の最初の食事から最後の食事までを8時間以内に収めて減量効果を図る「8時間ダイエット」も最近話題です。 しかし、体内時計との関係で「8時間を毎日同じ時間帯に設定するならお薦めかもしれませんが、『今日は朝食が6時、明日は11時』などと不規則では、健康によくないでしょう」と、柴田教授は注意を促します。普通に社会生活を営む人にとっては、かなり難易度が高そうです。※信頼性の高い研究結果を網羅的に調査したところ、成人では朝食の内容にも影響を受け、高脂質や高糖質の朝食では、抜いた場合との差は顕著にはなりませんでした。一方、子どもでは朝食抜きは肥満との関連性が明らかでした。夜食べると太る8時間ダイエットは?LOHASMEDICALVIEWを抜く人には肥満や体重過多の傾向が多く報告されています※。高血圧、高コレステロール、糖尿病などを含むメタボリックシンドローム、ひいてはそれらを危険因子とした心疾患などとの関連も数多く報告されています(図4)。 体内時計が狂うことの恐ろしさ、お分かりいただけたと思います。 そこで、冒頭の朝食抜き健康法に話を戻しますと、柴田教授は、「夜のうちにカロリーを使いきれないという前提が、そもそも問題です。前夜に食べ過ぎたり、遅い時間に食べたりするせいでしょう」と言います。 ヒトは太古の昔から、朝起きて活動し、夜暗くなれば眠る生活を繰り返してきました。体内時計もその生活に合うように出来ています。真夜中に食事する想定には、なっていないのです。「夜遅く食べると太りやすい」ことも知られています(コラム)。 ただし「ずっと夜勤のガードマンのように昼夜逆転しても生活が規則的なら、それほど問題ないことは分かっています」と柴田教授。要するに、規則的なら体内時計は対応してくれるけれど、日によって変わると対応できず健康を害することにつながるのです。 前日の不摂生をなかったことにするという安易な気持ちで朝食を抜くのなら、望むような減量効果は恐らく得られず、単に体調不良と体重増加にだけ見舞われることでしょう。 体内時計を乱さない健康的な生活をしていれば、朝は自然にお腹が空くはずなので、バランス良い朝食を決まった時間に決まった量食べるということを習慣にしてはいかがでしょうか。何はともあれ規則正しく


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