ロハス・メディカルvol.117(2015年6月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年6月号です。


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第46回どい・ゆうこ●1978年北海道医療大学薬学部卒。病院勤務後、93年(株)アインファーマシーズ入社、薬剤師研修を担当、2013年より現職。神戸薬科大学非常勤講師、北海道大学非常勤講師として、「薬剤師教育指導論」や「リスクマネージメント」を教えている。MBA取得後、2015年4月より経営学博士課程に進学。持つ必要があると感じ、この問題について簡単に解説したいと思います。 副作用とひとくくりにされますが、薬の作用から、発生を想定できるものも多くあります。例えば、風邪薬や鼻炎薬に含まれている抗ヒスタミン薬は「鼻炎を抑え鼻水を止める」のが主作用で、そのように働く過程で「眠気、倦怠感、口の渇き」を起こしがちです。 また、薬の作用とは関係なく、体が薬を外部から侵入した「外的異物」と判断して過敏に反応するアレルギーもよく起きます。アレルギー反応月8日に消費者庁が、「市販薬の副作用で重症化することも!」というニュースリリースを出しました。 過去5年に死亡例が15件あるなど、市販薬(一般用医薬品、要指導医薬品)だからといって油断はできないこと、何か起きた時は直ちに医師や薬剤師に相談することを、一般の人向けに注意喚起したものです。 市販薬には、長い間服用され、安全性が高いと考えられている成分が使用されています。しかし、薬である以上は、必ず体へ影響があります。 薬剤師としても問題意識を(株)アインファーマシーズ上席執行役員土居由有子は、どの物質を異物として誤認するのか、事前に予測することは難しいです。ただし一度起きたら、同じ物質で何度も起きる可能性が高いので、何かを体に入れた場合に起こったなら、その時に入れた物質を覚えておきましょう。「解熱鎮痛剤を飲んで起こした」「抗生物質のペニシリン系を飲んで発疹が出た」と覚えておくことが必要です。 覚えておけるか自信がないという人は、お薬手帳に記録として残し身に着けるようにするとよいです。病院や保険薬局に行く時だけでなく、市販薬を買う時にも役に立ちま市販薬にも副作用油断せず想定して4す。アレルギーを起こした経験のある人は、薬を買う時、記録した手帳を薬剤師に見せるか口頭で伝えてください。 もう一つ、薬の飲み合わせも重要です。副作用が強く出たり、新たな副作用が発現したりすることがあります。例えば、前立腺肥大の患者さんが風邪薬を一緒に服用した場合に、尿の出が悪くなることがあります。これは風邪薬に含まれる「抗ヒスタミン薬」の影響です。 複数の薬を服用している人は、薬局で薬を購入する時に必ず、どのような薬を服用しているかを店頭の薬剤師や登録販売者に伝えてください。そのためにもお薬手帳は役に立ちます。 店頭で薬剤師が患者さんと対話して副作用の原因を回避した例は、たくさんあります。薬の安心安全を高めるため、提供者側の役割は大きいです。心して取り組みたいと考えます。LOHASMEDICALVOICE


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