ロハス・メディカルvol.117(2015年6月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年6月号です。


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0204060801001960年2013年75歳∼65∼74歳15∼64歳∼14歳供したという流れなのです。 この形で国民皆保険が成立したのは、50年以上前の1961年のこと。国民全員を国民健康保険一本にまとめなかったのは、既存の健康保険組合が積立財産などを持っており、それを奪ってしまうわけにいかなかったからです。 顔の見える関係で運営しないと「保険料を払った分だけ使わないと損だ」というモラルハザードの起きることが知られており、当時としては最善の選択だったと思われます。ただ結果として、保険者ごとに組合員の年齢構成・健康リスクの偏りや財務状況の差が当たり前のように存在することとなり、現在でも、保険者によって財務の健全さと保険備知識なく前項の公的医療保険の図を見ると、なぜこんなにたくさんの種類があるのだろうと、不思議に思うことでしょう。どの保険でも、適用を認められる医療行為や、その価格は同一で、しかも各医療保険の間で金銭のやりとりまであるのですから、分けて何か意味があるのか? という疑問が出ても不思議はありません。 これ実は、分けることに意味があるのではなく、単に歴史を反映しているだけのことです。制度上は国民健康保険ありきのように見えますが、実際には、職場で健康保険を形成できる人たちがまずまとまり、漏れた人たちを対象として最後に国民健康保険を提料率が全く異なります。後期高齢者医療制度が都道府県ごとに一本化された形で成立したのは、社会保険の建前から言えば一本化しているべきという思想が後押ししたと考えられます。 この保険者間格差をどうするのかも、いずれ考えざるを得ない問題です。 さて、この国民皆保険は、LOHASMEDICAL世界的にも優れた仕組みとして半世紀以上続いてきました。しかし制度が創設された当時は若く右肩上がりの経済成長が当たり前だった我が国も、絶頂のバブル経済を経て失われた20年で右往左往している間に、世界の誰も経験したことのない高齢社会へと突入してしまいました。 制度を支える前提が大きく変わってしまったのです。 まず最も大きく変わったの社会が変わった成立から54年前提が変わった予28LOHASMEDICAL図3日本の年代別人口構成比の変化図4年代別1人あたりの医療費出典:総務省統計局『人口推計』


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