ロハス・メディカルvol.118(2015年7月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年7月号です。


>> P.5

かりませんが、横になっている6〜7時間ほどの中で全く眠れなかった(=睡眠ゼロ時間)ということは生理学的にはあり得ません。であっても、本人にとっては、確かにゼロに近い経験があるわけです。自身の睡眠に対する認識の間違いと言ってしまえばそれまでですが、不眠症を理解する上ではとても大事な点です。 こうしたズレが生じるのは、睡眠の問題を主観的な方法で捉え過ぎるせいかもしれません。米国で、同じ不眠症であっても、客観的な睡眠時間のあり方によって、病気の状態や影響が変わるのではないか眠症というものは実に不思議です。極端に言うと、よく眠れず、そのせいで昼間に困ったことがあれば、不眠症と診断されます。もちろん、このような症状がある程度長く続く必要はありますし、何らかのトラブルで誰もが眠れないような場合は除かれます。しかし、基本的には本人の自覚だけが頼りです。これだけハイテクの進んでいる社会において、きわめてローテクに感じます。 「昨夜は一睡もできなかった」。睡眠の問題が語られる時、しばしば耳にします。一睡がどのくらい長さを指すのか分満群では主観的な睡眠時間が客観的に測定した時間とほぼ同じでした。これに対して、6時間以上群では主観的な長さは客観的な長さより、1時間ほど下回っていました。つまり、自身の睡眠時間を実際より短く見積もっていたわけです。 睡眠6時間以上である不眠症群のもう一つの特徴は、不安や抑うつなど精神的な不調が多かったことです。となると、この群には、どちらかと言えば心理面からのケアが大事になります。 睡眠の客観的な長さに基づいて不眠症をタイプ分けするというのは新しい試みです。今回紹介した分け方が適切かどうかについて、研究を深めていく必要はあります。最近は睡眠時間を自宅でも客観的に測れるようになってきています。今後は、その結果に応じて、不眠症に対するより効果的な治療が行われるようになるかもしれません。第53回たかはし・まさや●1990年東京学芸大学教育学部卒業。以来、仕事のスケジュールと睡眠問題に関する研究に従事。2000年、米国ハーバード大学医学部留学。独立行政法人労働安全衛生総合研究所作業条件適応研究グループ・上席研究員高橋正也との考えから、詳しく調べる研究が行われました。 一連の研究では、終夜睡眠ポリグラフ検査によって睡眠時間を客観的に測り、6時間以上かそれ未満かで、不眠症の患者を2群に分けました。その結果、6時間以上群はおよそ4割であり、6時間未満群は残る6割となりました。 6時間以上群に比べて、6時間未満群はストレスに関連するホルモンの値が高く、交感神経が活発で、昼間の目覚め度も高いことが分かりました。また、高血圧症や糖尿病などをより多く抱えていて、死亡率も高いことが明らかになりました。記憶や認知機能に関する検査では、6時間未満群の成績は良くありませんでした。こうした状態から見れば、この群には医学的なケアをしっかり行うことが必要と考えられます。 一方、睡眠の長さに対する自己評価については興味深い違いがありました。6時間未不5LOHASMEDICALLOHASMEDICALVOICE


<< | < | > | >>