ロハス・メディカルvol.118(2015年7月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年7月号です。


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鶏卵を食べるのは1日1個までにした方がよいと信じられてきましたが、その根拠が怪しくなっています。むしろ、食べた方が色々な健康効果を期待できるかもしれません、という話です。LOHASMEDICALVIEW大好きだけれどコレステロールが心配だから、と鶏たまご卵を控えめにしていませんか もったいないですよ。専任編集委員(米ミシガン大学大学院環境学修士) 堀米香奈子タマゴを1日2個以上食べてもいいでも説明した通り(WEBで電子書籍を読めます)、血中コレステロールの7〜8割は体内で合成されたもの。「日本人の食事摂取基準」2 0 15年版からは、コレステロールの摂取基準が撤廃されました。米国でも同様に摂取基準が撤廃されそうです。要するに、コレステロールを多く含むから、と鶏卵を避ける理由は消えたのです。 実は、卵元凶説に根拠がないことは、以前から専門家の間では知られていました。くておいしい鶏卵。でも、「血中のコレステロール値を上昇させるので1日1個までにした方がよい」と長く信じられてきました。実行しているという方もいらっしゃることでしょう。 たしかに、M・Lサイズの鶏卵1個にはコレステロールが約250〜300㎎含まれ、それだけで「日本人の食事摂取基準」2010年版で摂取基準とされた成人1日あたり量(男性750㎎未満、女性600㎎未満)の3分1以上となるように見えます。 しかし5月号の本コーナー安 説がどこから出てきたかというと、20世紀はじめ、ロシアで複数の学者たちが、ウサギに卵の白身や卵黄などを与えたところ、血管壁や脾臓など内臓に大きなダメージと変化(今で言うアテローム性動脈硬化)が観察されたという実験からです。学者たちは、その原因物質をコレステロールと断定しました。 ただ、ご存じの通り、ウサギは草食動物です。肉食動物や雑食動物のようなコレステロール代謝の仕組みを持っていません。卵黄など食べさせたら悪影響が出るのは当然で、実験結果を雑食動物のヒトに当てはめることには無理がありました。 鶏卵が嗜好品なら、この説の罪も軽かったでしょうけれども、実際には極めて身近かつ栄養バランスのよい食品でした。 ビタミンCと食物繊維以外のほとんどすべての栄養素を含んでおり、牛乳と並び「完全栄養食」と呼ばれることもあります。特にそのタンパク質は「アミノ酸スコア※」が、満点の100点です。健康の※タンパク質の部品であるアミノ酸20種類のうち、体内で合成できず食品から摂取する必要のある「必須アミノ酸」9種類の含まれる量を点数化したもの。6今回のお話は…元はウサギの実験ほぼ完全栄養食


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