ロハス・メディカルvol.118(2015年7月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年7月号です。


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慢性炎症メタボリックシンドローム生活習慣病肥満/糖尿病/脂質異常症/CKDなどがん発がん/浸潤/転移など動脈硬化性疾患虚血性心疾患/脳卒中など神経変性疾患アルツハイマー/パーキンソン病など自己免疫疾患慢性関節リウマチ/乾癬など筋肉中心の体重減少、炎症による食欲低下、全身消耗、やがて悪質液への進行治癒します。この一連の流れは一過性なので「急性炎症」とも呼ばれます。 これに対し、症状がじわじわ続き、いつまで経っても治癒しないことがあります。これが「慢性炎症」です。炎症が継続することで患部の組織が変形したり機能障害に至ったりします。 がん患者の体内では、がんに対して免疫細胞が攻撃を仕掛け、しかし排除できない状態が続いていると考えられます。そして、この攻撃の合図などとして免疫細胞が分泌する「炎症性サイトカイン」は、血液やリンパの流れに乗って巡り、腫瘍周辺だけでなく全身に影響を与えるのです。位では悪液質を起こさなかったがんでも、転移を起こしたら悪液質を起こすこともあります」 近年、このがん悪液質の際に、全身性(局所に留まらない)の慢性炎症が起きていると分かってきました。 慢性炎症って何でしょう? 炎症の言葉でイメージされるのは、患部周辺が赤く腫れ上がって痛んだり、熱を持ったりする様子ですよね。赤く見えるのは血管が広がって血流が増加するため、腫れて熱を持つのは血液成分や白血球が患部の組織へ集まるため、そして痛みは患部で作られた物質が神経を刺激するため、です。体温上昇も、炎症の一症状です。 これらの症状は通常、比較的短期間に収束し、死んだ細胞や細菌の除去が済むと、ダメージを受けた組織が再生されたり置き換えられたりして 慢性炎症は、がんによって起きるだけでなく、がん発症の原因ともなります。例えばピロリ菌による胃粘膜の慢性炎症が胃炎や胃潰瘍をひき起こし、さらに胃がんに発展する、という話は多くの方がご存じでしょう(この仕組みについては、2014年11月号でご紹介しました。WEBで電子書籍を読めます)。 さらに慢性炎症は、がん以外にも、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、関節リウマチなどの自己免疫性疾患に加え、動脈硬化や肥満など生活習慣病、さらにアルツハイマー病や老化そのものの進行にも、関与していることが近年分かってきました。怖い慢性炎症炎症性物質が全身に


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