ロハス・メディカルvol.119(2015年8月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年8月号です。


>> P.4

1.15〜1.05〜1.150.95〜1.05〜0.95(市町村国民健康保険)[図4]都道府県別1人あたり実績医療費(全国=1)言う筋合いのものではありません。しかし実際には、税金などを原資とする国庫負担金や保険者間の財政調整を通じて、医療資源の少ない地域が、多い地域を支える構図になっています。 医療供給が本当にムダなく必要なものだけなら、その多さを問題視するのは間違っています。しかし実際には、受ける側も供給する側もサービスを多くするほど得る利益も増える共犯の構図になっているため、節約しようという意識がほとんど働きません。受益していないのに費用負担を強いられる人たちからすれば、信用でき納得できる仕組公平が存在するのは、世代間だけではありません。 これまた前回も説明したように医療の値段は全国どこでも同じです。しかし、1人あたりの公的医療保険給付費は、地域によって大きな差があり、ハッキリと西高東低です(図4・5)。これは東日本の人の方が健康だから医療を利用しないということではなく、東日本の人口あたりの医療スタッフ数や医療機関の設備(まとめて医療資源と呼びます)が西日本に比べて少なく、「出来高」が積み上がらないため、と考えられています。 それぞれの地域の医療費を、それぞれの地域が完全に賄っているのであれば、とやかくみではないのです。 通常のサービスなら、このような供給の偏りがある場合、供給の少ない地域では価格が上がり、逆に多い地域では下がるという市場の調整が働いて、それに伴って供給者の移動が促され、差も少なくなっていきます。LOHASMEDICAL ところが医療の場合、どこでも値段は一緒で、このメカニズムが働きません。逆向きの力さえ働きます。というのも、基本的に日本全体で医療供給は過少気味な上に、たとえ過剰な医療行為を行ったとしても、先ほども述べたように抑制する仕組みがほとんどなく、また費用を回収し損なうこともあまりないからです。是正には無力看過できない東西の格差不4


<< | < | > | >>