ロハス・メディカルvol.119(2015年8月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年8月号です。


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にもなるという理屈です。 対して地域包括ケアでは、これまでに比べて圧倒的に家族の介護負担が増えます。普通に考えれば、労働力の減少、そして税収や保険料収入の減少につながります。簡単に言えば、「保育所を増やして病院のベッド数を減らす」というのは、政策の方向としては正反対になってしまっているということです。 また、社会保障費の伸びを圧縮しようとするのが、国全体の政策の大きな流れだと認識しています。同じ質なら、病院や施設で提供するより、在宅ケアの方が人手もお金も余計に必要です。ただでさえ介護労働力不足が深刻になると予測されているのに、よいのでしょうか。 社会保障費の圧縮と在宅ケアへの移行を同時に達成しようとすれば、ケアの質は大幅に低下するはずです。そのことについて、国民の了解は得られているのでしょうか。とは言えそうもありません。 中央官庁の方々は、地域包括ケアが「超少子高齢社会を乗り切るため必要不可欠」と言います。 しかし、どういう根拠でそういう判断になったのか、説得力のある説明を聞いたことがありません。むしろ他の政策との整合性がないのでないか、と感じています。 例えば、子育て支援策は、待機児童解消や幼児教育・保育の充実など、核家族化している現代の家庭の外側に、サポートを用意していくというのが、基本的な流れです。現役世代の労働力が子育て期間に失われないよう、家族だけで抱え込むのではなく社会で支えていこうという考え方です。現役世代が子育て中も働き続けることができれば、結果として労働力が確保され、国から見れば税収や保険料収入も保たれ、また少子化対策 地域包括ケアの底流には、高齢者が病院で亡くなるのは望ましいことではない、だから病院を減らそうという考え方があるように感じています。 でも、ちょっと待ってください。ここ50年ほどの歴代の総理大臣で、病院以外で亡くなったのは、私が知る限りお一人だけです。昔は自宅で亡くなるのが当たり前だったから昔に帰れ、というのだとしたら暴論です。 むしろ病院のベッド数を減らしたいという思惑が先にあって、そのための屁理屈として、「地域包括ケア」が謳われているということではないでしょうか。たしかに、過剰なベッドを抱えた医療機関が、過剰な医療の需要を創り出していたという話も聞いたことはあります。ただ、そういう不適切な事例に対してお金を払わないよう運用を改善すればよいだけなのに、これから医療需要が1・5倍になるという時代にベッド数を減らして本当によいのでしょうか。 そこでお願いになるのですが、「地域包括ケアシステム」を広げることにより、現役世代の労働力は減らない、税収や保険料収入も減らない、医療やケアの質が今よりも良くなる、と根拠を示して、私の懸念を払しょくしてくださる有識者の方、いらしたらご連絡をください。私の事務所の電話番号は、0727・4 7 ・9318です。よろしくお願いします。 幸いなことに、ベッド数の削減はまだ本格的には始まっていませんし、地域包括ケアの一部である地域医療構想も各都道府県が作り始めたところです。あと2〜3年のうちなら、よく考えて、やり直することができます。国民の皆さんも、もし私の書いたことに危機感を感じられたら、ぜひ一度考えていただければと思います。LOHASMEDICALVIEW考え直すなら今国の利益にもならない8LOHASMEDICAL


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