ロハス・メディカルvol.119(2015年8月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年8月号です。


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水酸化水酸化肝臓腎臓活性型ビタミンD活性化前のビタミンD一定範囲に調節することです。不足すると、骨の軟化が起こり、高齢者では骨粗鬆症になりやすくなります。 それに加えてビタミンD、足りないと転倒のリスクも上がると考えられています。米国の研究では、血中ビタミンD濃度の高い人ほど体のバランスが良く、骨折予防にビタミンD単独かビタミンDとカルシウム製剤を服用したら、高齢者の転倒リスクが4割ほど減少したという結果が出ています。 なぜそのようなことになるのかは、ビタミンDの働きが多岐に渡るため結論は出ていません。ただ、血中濃度の低い人が要注意ということだけは確実です。 血中濃度とサラっと書きましたが、時と場合によって二つの別のものを指していることがあります。 先ほど述べたホルモンのような働きをするのは「活性型ビタミンD」で、これが不足している場合には先述の骨に関連する不調が出てきます。ただし薬などで補うと過剰になることもあり、その場合は血中のカルシウム濃度が高くなり過ぎて、血管壁や腎臓、心筋、肺などに沈着、腎機能障害や食欲不振、嘔吐、興奮などの症状が現れます。 活性型という呼び方からもピンと来ると思いますが、実は血中には、活性化していないビタミンDもあります。そして、こちらの量の方がはるかに多いです。 この二つの関係は、図のようになっています。今回問題にするのは、活性化する前の方です。こちらは、そう簡単には過剰になりません。活性型と通常型二つのビタミンDビタミンDは肝臓で1回水酸化されたスタンバイ状態で大量に血中に待機しています。活性型の量が減ってくると、スタンバイ状態のものが腎臓でさらに水酸化されて活性型になります。


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