ロハス・メディカルvol.119(2015年8月号)

患者と医療従事者の自律をサポートする月刊情報誌『ロハス・メディカル』の2015年8月号です。


>> P.19

そこで学会ではこの5月15日、全国の幅広い年代の人々を測定してきたデータに基づいて、疾患や病態の予防・治療・予後予測などの判定を行う際の基準となる「臨床判断値」を策定し発表しました。先ほどの例は、移動機能低下が始まっている「ロコモ度1」となります(ただし、残り二つのテストで「2」とならない場合)。「ロコモ度2」は、より進行して、生活は自立しているものの移動機能低下が進行している段階です。ロコモ度の判定に応じて、食事や運動の改善、あるいは整形外科医の受診が勧められます。 このロコモ度は、年齢を加味せず判定されます。したがって若い人も、運動不足で移動機能が低下していれば、基準に引っかかります。 学校では、骨、関節、筋肉といった運動器官の構造については学習しますが、「立つ」や「歩行」といったことを科学する人間工学的な見方をする機会はありません。また、高校の保健体育では、高齢者の機能低下や生涯スポーツの考え方を教えていますが、持久力や瞬発力を高めるメニューは紹介されていても、機能低下を予防する体づくりを記載しているわけではありません。そのため、運動器官がどのような働きをして私たちの日々の動きを支えているのか、どの部分が劣化すると何ができなくなるのか、といったことを若いうちから意識することができないのは仕方がないのです。骨折したり関節が痛くなったりして初めて、立つことや歩行といった基本動作と運動器官の関係が分かるのですが、気づくのが遅いと取り返しがつかなくなります。 運動器官は使わないとどんどん劣化してしまいます。そのことは誰もが分かっているはずですが、劣化のスピードは多くの方が想像しているより、ずっと速いのです。 ロコモ度テストは、安全に気をつけて注意事項をきちんと守れば、自分で実施することができます。また、判定方法も公開されていて、自分で判定することができます。若いうちから定期的に実施していれば、機能の低下度合いを知ることができ、早期予防に役立ちます。 健康を維持するには、「いつもと違う」という気づきが重要です。「立つ」「歩く」といったあまりにも簡単な日常動作であると、少々機能が低下していても、何となくこなせてしまうため、「いつもと違う」が分かりません。「いつも」の状態を知っておくためにも、定期的にロコモ度テストを行って、寝たきりの予防に努めたいものです。LOHASMEDICALVIEW若いうちから毎回、本文と関係のある本をご紹介していきます。谷本道哉著中央公論新社 2015年大江隆史、宮地元彦、新開省二監修 「きょうの健康」番組制作班、主婦と生活社ライフ・プラス編集部編主婦と生活社 2013年もっと知りたい方に学術的に「正しい」若い体のつくり方なぜあの人だけが老けないのか?NHKきょうの健康100歳まで元気に歩ける体づくり75のコツ19LOHASMEDICAL


<< | < | > | >>